バンス米副大統領が中間選挙の敗因を「戦争だ」と認め、戦闘の早期終結を訴えたのは、イラン攻撃で離反したトランプ大統領の支持者を再結集させるためだ。2028年の次期大統領選に向け、外国での戦争に反対した「米国第一」主義の原点に立ち返り、支持者の受け皿となる思惑があるとみられる。
敗因は「戦争」と認める異例の投稿
バンス氏は4日のSNSへの投稿で、24年大統領選でトランプ氏を支持した人の多くが民主党に投票したとの見方を示し、「我々がこれからどう進むべきかについて率直に話し合うには、そこ(戦争)から始めなければならない」と主張した。
バンス氏は2月に始めた対イラン軍事作戦に先立ち、攻撃が支持者の信頼を失いかねない懸念をトランプ氏に伝えたとされる。大統領選で、トランプ氏が「新たな戦争はしない」と公約していたためだ。
周到に準備された長文投稿
バンス氏の約600語からなる長文の投稿は、周到に準備されたとみられる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ氏には事前に内容が伝えられていたと報じた。トランプ氏の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏は投稿について、SNSで「一言一句」を支持すると表明した。ジュニア氏はバンス氏と親しく、副大統領への起用をトランプ氏に働きかけたことでも知られる。
バンス氏が共和党への支持を取り戻すための方策として示した四つの課題は、イラン攻撃をきっかけに支持率が下振れした項目が並ぶ。そのうちイスラエルとの関係は、バンス氏が選挙戦の最中から見直しの必要性をにじませていた。
求心力への疑問符と今後の展望
バンス氏は28年の次期大統領選で共和党の最有力候補と目されている。このタイミングで異例の主張を展開したのは、中間選挙で自身の求心力にも疑問符が付いたためだ。
バンス氏は地元オハイオ州の連邦議会上院選で、繰り返し応援に入った自身の後継を勝たせることができず、知事選も敗れた。お膝元を守れなかったバンス氏について、米ニュースサイト・アクシオスは「大統領への野望に暗い影を落とした」と指摘した。
トランプ氏も4日、次期大統領選について記者団に「誰が立候補するかは分からない。彼(バンス氏)も立候補しないかもしれない」と述べるにとどめており、政権内の不協和音が浮き彫りになっている。