東京都心からわずか3駅の距離にありながら、大規模な再開発の波を免れ、古き良き街並みを残す地域がある。それが台東区の根津だ。かつて江戸随一の私娼街として繁栄し、東京大学の開設に伴って学生が遊郭に通うようになったという歴史を持つこの街は、現在も再開発の波が押し寄せる東京23区において、独特の景観を維持している。
バブル期以降の変化と不燃化促進事業
1980年代後半のバブル期になると、不動産会社による地上げが目立つようになり、不忍通り沿道にはマンションが次々と建設された。また、1991年(平成3年)からは防災性を高めるための不燃化促進事業が行われ、建物の中高層化が進んだ。しかし、これらのマンションの高さは10階から14階程度にとどまり、タワーマンションや超高層ビルが立ち並ぶような街にはなっていない。
震災と戦災を免れた歴史
根津は、根津権現(現在の根津神社)の造営を機に栄え、関東大震災や東京大空襲による焼失を免れたため、古い街並みが残された。不忍通り沿いの建物は中高層化されたものの、市街地再開発事業は実施されず、東京都心らしいビル群とは一線を画している。街中の路地には商店が点在し、趣のある景観が保たれている。
再開発されない理由の分析へ
続く後編では、なぜ根津が再開発の波を逃れたのか、その背景と理由を詳細に分析する。地権者の意向や行政の計画、歴史的経緯など、複合的な要因が考えられる。



