再開発されない街・文京区根津の実態:バブル期の地上げもタワマンなし、低層住宅密集の理由
再開発されない街・文京区根津:低層住宅密集の理由

文京区根津は、東京都心に近接しながらも、タワマンや超高層ビルが乱立しない珍しい街である。バブル期には地上げの波が押し寄せたが、現在も細い路地に低層住宅が密集し、昭和の趣を残す商店街が息づく。なぜ根津は再開発されず、風情ある街並みを保ち続けているのか。ショッピングセンター研究家・ライターの坪川うた氏が、緻密なリサーチとフィールドワークでその実態に迫る。

文京区の幹線道路沿いは中高層化、しかし根津は異なる

文京区は、幹線道路である不忍通り沿いを中心に中高層マンションが建ち並ぶ。しかし、不忍通りから一歩路地に入ると、低層住宅や昔ながらの商店が密集するエリアが広がる。根津駅(東京メトロ千代田線)周辺も同様で、駅前には大規模な商業施設はなく、個人商店が点在する。

根津の街の起源は、根津神社(根津権現)の造営にさかのぼる。同神社は現在も観光地として賑わいを見せるが、その周辺は高層開発の波を免れてきた。坪川氏は「根津は高度利用の拠点から外れ、下町交流ゾーンとして位置づけられたことが、再開発を抑制した一因」と指摘する。

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震災・戦災を免れた歴史が街並みを守る

根津は、関東大震災や東京大空襲の被害を比較的免れた地域である。そのため、戦前からの木造家屋や細い路地が多く残り、歩く楽しさを感じさせる街並みが形成された。バブル期には地上げの動きがあったが、住民が古い街並みを守ろうとする意識が強く、大規模再開発には至らなかった。

坪川氏は「根津のような街は、東京の都市開発の中では例外的な存在。しかし、その魅力は再開発では得られない独特の風情にある」と評価する。

住民の努力が再開発を阻止した実態

根津の街並みが維持された背景には、住民の強い意思がある。バブル期に地上げが行われたものの、多くの住民が移転を拒否し、低層住宅の密集を守り続けた。また、文京区の都市計画において根津は「下町交流ゾーン」に指定され、高層ビルの建設が制限されたことも大きい。

現在も根津では、昭和の趣を残す家屋や商店が立ち並び、細い路地が迷路のように入り組む。このような環境は、都心では貴重な散策スポットとして人気を集めている。

今後の課題:街並み保存と防災の両立

一方で、木造家屋の密集は防災面での課題も抱える。老朽化した建物の耐震性や、路地の狭さによる消防車の進入困難など、解決すべき問題は少なくない。坪川氏は「街並みを保存しながら、防災対策をどう進めるかが今後の鍵」と指摘する。

根津の事例は、再開発一辺倒ではない都市のあり方を示唆している。都心でありながら、低層住宅が密集する街並みを残す根津は、東京の多様性を象徴する存在と言えるだろう。

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