明治大学政治経済学部教授の野澤千絵氏は、著書『マンション高騰の真実 都市部の「非居住化」が街を壊す』(中公新書ラクレ)の中で、首都圏の人口移動の変化を分析している。2020年前後から住宅価格の上昇が顕著になり、居住者構成に変化が生じているという。
首都圏の人口増減率の変化
2015~2020年と2020~2025年の首都圏の人口増減率を比較すると、人口が増加し、かつ増加率も上昇した自治体は、東京23区では台東区のみで、他はすべて郊外の自治体だった。東京23区を含め、首都圏の多くの自治体では人口はまだ増えているものの、その増え方は全体的に弱まっている。
一方、目黒区と江戸川区では、2015~2020年は人口が増加していたが、2020~2025年は減少に転じた。人口は減少しているものの、増加率が持ち直したのは郊外の自治体が中心だった。
「都心回帰」とは異なる動き
この分布から、首都圏では総人口はなお増加しているものの、人口の伸びは東京23区よりもむしろ郊外で目立つようになっており、従来の都心回帰とは異なる人口移動が生じていると野澤氏は指摘する。
野澤氏は、今後も利便性の高いエリアで建てられる区分所有マンションの相当部分が転売、資産保有、資産退避を目的とする購入者に取得される状況が続けば、都市にとって重要な拠点エリアで十分に使われない空間ばかりが増えていくことになると警鐘を鳴らしている。



