トヨタ自動車は、カーボンニュートラル実現に向けて、燃料電池車(FCV)と水素エンジンの開発を両輪で進めている。2023年、トヨタは水素エンジンを搭載したGRヤリスを開発し、スーパー耐久シリーズに参戦。2024年には、水素エンジン搭載のGRカローラも投入し、実走行データを収集している。
FCV市場の現状とMIRAIの販売実績
トヨタのFCV「MIRAI」は、2014年に初代が発売され、2020年に2代目にフルモデルチェンジ。しかし、販売台数は伸び悩んでいる。2023年の世界販売台数は約3,900台で、累計販売台数は約2万5,000台にとどまる。これは、水素ステーションの整備が進んでいないことが大きな要因だ。日本国内の水素ステーションは約170か所で、ガソリンスタンドの約3万か所と比べて圧倒的に少ない。
水素エンジン開発の狙いと課題
トヨタはFCVに加えて、水素を直接燃焼させる水素エンジンの開発にも注力している。水素エンジンは、既存のエンジン技術を活用できるため、コスト面で有利とされる。しかし、水素の燃焼速度が速く、エンジン内部で異常燃焼(ノッキング)が発生しやすいという課題がある。トヨタは、レースでの過酷な条件下でデータを蓄積し、これらの課題解決に取り組んでいる。
水素社会実現への課題
水素エンジン車やFCVの普及には、水素の製造コストと供給インフラの整備が不可欠だ。現在、水素の製造コストはガソリンや電気と比べて高く、政府の補助金に依存している。また、水素ステーションの建設費用も1か所あたり数億円かかるため、民間企業だけでの整備は難しい。トヨタは、他の自動車メーカーやエネルギー企業と協力し、水素サプライチェーンの構築を推進している。
水素エンジン車のレース参戦と技術開発
トヨタは2021年から、水素エンジン搭載のカローラをスーパー耐久シリーズに投入。2023年には、水素エンジン搭載のGRヤリスも投入し、レースを通じて技術開発を加速している。レースでは、水素の充填時間や航続距離などの課題を洗い出し、実用化に向けた改良を重ねている。2024年には、水素エンジン搭載のGRカローラが参戦し、さらなるデータ収集が行われている。
FCVと水素エンジンの将来展望
トヨタは、FCVと水素エンジンの両方を開発することで、水素社会の実現を目指している。FCVは乗用車向け、水素エンジンは商用車や大型車両向けなど、用途に応じて使い分ける方針だ。しかし、水素の製造コスト削減やインフラ整備など、解決すべき課題は多い。トヨタは、政府や関連企業との連携を強化し、水素社会の早期実現を目指している。



