プロ野球・阪神タイガースのファーム(二軍)施設として兵庫県尼崎市に2025年春に完成した「ゼロカーボンベースボールパーク」が、環境問題への関心を高める取り組みを進めている。試合が行われる日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎では、太陽光発電で照明灯の消費電力をまかない、LEDビジョンには環境保全を呼びかける選手の映像が映し出される。電力消費に伴う二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指し、官民連携で取り組みが進められている。
太陽光パネル約1400枚で電力100%達成
6月下旬、同スタジアムで行われたプロ野球ファーム・リーグの阪神対オイシックス新潟アルビレックスの試合では、6基のLED照明灯が甲子園球場と同じ仕様のグラウンドを照らした。イニング間には「ひとり3つのエコで、未来を変えよう」など、若手選手のメッセージが繰り返し流された。
尼崎市は人口減少が進む大物地域にある小田南公園に阪神の二軍施設の誘致を進め、2021年5月に基本協定を締結。環境省の「脱炭素先行地域」の公募に阪神電鉄と共同で提案し、2022年4月に選定された。太陽光パネルはスタジアムのビジョン背面、室内練習場、選手寮兼クラブハウス「虎風荘」の屋根に設置され、その数は計約1400枚に及ぶ。太陽光発電でナイター照明などの電力使用量の80%以上をまかなう計画で、1年目の2025年には100%を達成した。
再生水やリサイクル素材を活用
グラウンド整備には再生水が使われ、外野フェンスのクッション材はスタジアムで販売されるビールなどのプラスチック製カップをリサイクルして活用する。同スタジアムでは阪神の二軍戦など年間約80試合が行われ、2025年は約20万人が訪れた。市環境創造課は「環境問題に興味がない人にも球場に来て関心を持ってもらえる」と、人気球団ならではの集客効果に期待する。
6月初めには環境についてクイズなどで学ぶ体験型イベント「エ虎(こ)フェス」も開催。同スタジアムの矢浪峻介副球場長は「地域、環境、野球を掛け合わせたイベントを今後も市と企画していきたい」と話す。
尼崎市全体の脱炭素目標
高度経済成長期に公害が深刻だった尼崎市は、2010年に産業界と共同で「ECO未来都市・尼崎」を宣言。市はクリーンセンターでのごみ焼却熱を利用した廃棄物発電も活用し、2030年度までに小田南公園など先行地域の二酸化炭素排出量実質ゼロを達成するとともに、市全体で50%以上(2013年度比)の削減を目指す。



