「2週間前に土に埋めたネコを解剖してほしい」。獣医師の元に、そんな切実な電話がかかってきた。電話口の女性は19歳で亡くなったネコの病理解剖を求めたが、その真意は後悔と苦しみにあった。
3時間に及ぶ電話と翌朝の返事
獣医師は、19歳はネコとして長生きであり、慢性腎臓病は10歳以上のネコでは珍しくないこと、飼い主ができる限りのことをしていたことを伝えた。「最期は飼い主さんに見守られながら、その膝の上で亡くなったのです。きっと、十分に幸せだったはずです。だから、そんなに後悔しなくてもいいのではないでしょうか」と話し、「一晩考えて、明日また電話をください」と伝えた。時計を見ると15時半で、3時間が経過していた。
翌朝8時、再び電話があった。「ゆっくり話を聞いてもらい、一晩考える時間をもらったことで、気持ちが整理されました。病理解剖は、やっぱりいいです。お騒がせしました」と女性は話した。その電話でもネコとの思い出を語ったが、獣医師は「この先、また気持ちが揺れることもあるかもしれない」と感じ、「できれば、遺体はきちんと火葬してあげてください」と伝えた。
土葬ではなく火葬が必要な理由
理由の一つは衛生面だ。ネコほどの大きさでも、遺体をそのまま人間の居住区に埋めることは衛生上好ましくない。また、土に埋めた遺体がカラスやタヌキなどの野生動物に掘り起こされることもあり、遺体の一部を目にすれば飼い主に大きなショックを与える。
もう一つは、飼い主が気持ちに区切りをつけるためだ。亡くなったペットの遺体が近くに埋まっていることで、その死を長く引きずってしまう飼い主を何度か見てきたという。ペットの死を受け入れるためにも、遺体はきちんと火葬し、供養してあげたほうがいいと獣医師は考えている。



