休日の昼下がり、住宅街の下り坂の先に陽炎が立ち、アスファルトに焼かれた熱風が吹き上がる。日傘を差しても照り返しの熱が足元から迫り、持っていた麦茶も飲み干してしまった。そんな中、にわかにひんやりとした風が吹き始め、青空の端から灰色の雲が近づき、やがて大粒の雨が一斉に道路を叩き始めた。
商店街のアーケードに逃げ込むと、ずぶ濡れになったカップルが駆け込んできて、女性が「まあ、暑いよりはマシか」とつぶやいた。
政治に迫る極端な二択
「40度に迫る猛暑と、突然の豪雨。どちらがマシか」。極端な二択のようにも思えるが、政治の世界でも歓迎しがたい二択を迫られる場面が増えている。
高市早苗首相は年初、衆議院解散に踏み切り、「私か、それ以外か」という極端な二択を有権者に迫った。総選挙は複雑な政策選択ではなく、単純な信任投票に変質した。
皇室典範改正と強引な政策
今国会では、皇族数減少への対応として改正皇室典範が成立した。本質論である「皇室の安定的な存続」よりも、「男系男子による皇位継承を維持するか、女性・女系を容認するか」という二択が、熟議を経ぬまま「数の力」で押し通された。
日本維新の会肝いりの「副首都構想」関連法や、首相が「悲願」とする消費減税も、強引に進めた印象が否めない。
政治に求められる「雨宿りの場」
社会の課題や民意は、虹のように豊かなグラデーションを描く。政治は「猛暑か豪雨か」を選ぶのではなく、空模様と風向きを読み、すぐに動かず「雨宿りの場」を整えたり、時に傘を寄せ合ったりする役割を果たすべきだ。
直近の世論調査で高市政権の支持率は急激に落ち込み、首相のこだわりと有権者の違和感がぶつかることで、永田町は激しい夕立に打たれているかのようだ。
やがて雨は収まり、雨上がりの涼風がアスファルトの熱を冷ましていった。日照りでも豪雨でもない、曇り空ぐらいがちょうどいいこともある。



