渋谷よしもと漫才劇場の舞台裏:スタッフが語る笑いを支える仕事のやりがい
渋谷よしもと漫才劇場の舞台裏:スタッフの仕事とやりがい

お笑い芸人のネタを楽しむ方法として、テレビやYouTube、SNSが普及する中、今なお芸人にとって欠かせない存在であり続けているのが「劇場」だ。開演前の劇場ではスタッフが慌ただしく準備を進め、芸人たちは舞台袖で出番を待つ。観客の目には映らないが、一つの公演は多くの人の仕事によって支えられている。今回は、渋谷よしもと漫才劇場を訪れ、劇場スタッフや支配人、出演前のドンデコルテ、滝音に話を聞いた。

リニューアルオープンした渋谷よしもと漫才劇場

渋谷よしもと漫才劇場は2025年4月にリニューアルオープンした、関東の若手お笑い芸人の拠点となる漫才劇場(いわゆるマンゲキ)。すり鉢状の半円劇場で、座席数は218席(定員は282名)となっている。2006年3月から2025年3月までは「ヨシモト∞ホール」として運営していた。

なお、渋谷よしもと漫才劇場には芸歴9年目以上の「極」(きわみ)メンバーが所属し、神保町よしもと漫才劇場には芸歴8年目以下の「翔」(かける)メンバーが所属している。取材当日は17時15分からの『渋谷Kiwami極LIVEプラス+』に始まり、計3公演を開催予定。舞台ではお客さんを出迎えるにあたって、様々なスタッフが公演準備を進めていた。

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劇場を陰で支える裏方スタッフの仕事

まず話を聞いたのは、YouTube動画を企画し、ライブ当日はロビーにて受付も担当する女性スタッフ。この日は出勤後に2時間ほどYouTubeの企画を会議し、このあと撮影も行う予定だという。「もともとお笑いが好きで、テレビでよく見ていました」という女性。仕事にやりがいを感じる瞬間については「自分が面白いと思ったものが形になり、お客さんに見てもらって、反応が良かったときですね。SNSで盛り上がっていたりすると、喜んでもらえたかな、と嬉しい気持ちになります」と話す。

続いて、制作スタッフに話を聞いた。劇場では月に120本ほど公演が行われているとのこと。「キャスティングの段階から主催の芸人さんと打ち合わせして、誰を呼ぶのか、どんなフライヤーにするのか、などを決めていきます。ほかの芸人さんの予定が合わず、公演ギリギリまでキャスティングが決まらないときは焦りますね」と苦笑いする。この日は出社後、芸人と作家の入り時間を確認し、各方面にメールを返信、InstagramとXではライブの告知を行い、当日券の販売も手伝った。公演が始まれば、舞台や客席でイレギュラーな出来事があったときに対応する。「お客さんの反応がダイレクトに伝わってくる仕事です。満足した表情で帰るお客さんを目にすると嬉しいですね。大変な業務だけれど、芸人さんに感謝されたときには苦労も報われます」

照明と音響が創り出す舞台演出

舞台を照らす「照明」は、ネタの演出に直接関わる仕事。女性担当者は「たとえばコントなら、ネタごとに『どんな景色があり』『どんな時間帯なのか』が異なります。そこで丁寧に照明を調整します。漫才なら出囃子に合わせて明かりをつくりますし、芸人さんの衣装の明るさ・色あいに合わせることもあります」と説明する。「コントの中でセリフに合わせて明かりが変わりホールの空気感が一変するときや、オチの瞬間に暗転してお客さんが『おっ』という反応を示したとき、この仕事にやりがいを感じます」と話す。

同じく「音響」も演出に関わる仕事。マイクのレベル調整、ライブ中のSE(効果音)、M(曲)などの音出しを担当する男性は、吉本興業の運営する専門学校で舞台の音響技術を学んだそうだ。「ライブ中、芸人さんの思うタイミングで音を出せ、お客さんの爆笑を誘えたときは本当に嬉しいです」と目を輝かせる。

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舞台監督が語る試行錯誤の日々

音響、照明、映像、配信などの技術系スタッフを統括しているのが舞台監督だ。この道20年以上のベテランである男性は、「その日の演者のスケジュールを確認して、リハーサルの段取りを行う毎日です」と教えてくれた。仕事のやりがいについて聞くと「毎日、芸人さんとああだこうだやっているので、まるで学生時代の放課後が続いているような気持ちです。芸人さんが思い描く舞台を、どこまで再現できるか。時間の制約があり、技術的な課題もある中で、どうやってライブ空間に落とし込んでいくか。試行錯誤の日々が続きます。やっぱり、芸人さんが喜んでくれたら嬉しいですね」とし、この劇場はとても居心地が良いです、と続けた。