倫太郎ははたと首を傾げた。目の前の町は確かに賑やかで、人出も多い。しかし、どこか嘘くさい。自棄っぱちにも見え、騒ぐことで不安を覆い隠しているような気がする。その違和感を探るべく町を見回すと、なぜか腹が減った。鼻先をかすめたのは焼けた味噌の匂いだ。
田楽の誘惑と女童との衝突
それは田楽だった。床店の親爺が煙を倫太郎の方へ扇いでくる。食いたくて身体が震える。その隣は鮨屋だ。どちらにしようか迷いながら財布を出そうとした瞬間、「あぶない!」と時蔵の声が上がった。驚いて振り返った倫太郎の腰に衝撃が走る。
「うおっ」と尻餅をついた倫太郎の上に、女童が乗っていた。女童も驚き、大声で泣き始めた。まだ六つぐらいの少女だ。
物語の展開と読者へのメッセージ
本作は梶よう子による連載小説で、第51回目を迎える。食を通じて描かれる人間模様が魅力で、今回も倫太郎の空腹が思わぬ出来事を引き起こした。次回の展開が待たれる。



