BTS依存から脱却へ、HYBEの野望
今年4月のBTS東京ドーム公演では、多くのファンが会場周辺に詰めかけ、K-POPの人気の高さを改めて示した。しかし、韓国の大手エンターテインメント企業HYBEは、BTS依存からの脱却を模索している。
投資関連リサーチを行うサンフォード・C・バーンスタインのシニアアナリスト、カン・ミンジュ氏はこう語る。「そもそもK-POPの本質は、エンゲージメント産業『ラブビジネス』です。グローバルな音楽産業とは異なり、K-POPにおいて音楽自体はレイヤーの1つにすぎない。アーティストをどう成長させ、ファンダムへとつなげ、その2つを結ぶ多様な接点を会社がどうサポートできるか。その接点が会社の利益の機会となる」
HYBEのビジネスモデル
HYBEのビジネスモデルは幅広い。アルバムやコンサートのほかに、ファンダムプラットフォーム「Weverse」を通じてアーティストとファンをつなぐ。さらにYouTubeなどのコンテンツ制作により、アーティストが活動していない期間でもファンが持続的に情報に触れられるようにしている。
Weverseは2019年から展開され、自社所属のアーティストにとどまらず、BLACKPINKや日本のYOASOBIなども活用。アーティストとファンの交流に加え、グッズ販売やライブ配信も行う。ファンにとっては「推し活」に必須のツールだ。
BTS依存リスクとポストBTS
HYBEが大きく成長できたのは、グローバルIPであるBTSの存在が大きい。しかし、IPが大きいほどリスクも膨らむ。数年前にはBTSがHYBEの売り上げの9割を占めるとされ、BTS脱退後の危機を指摘する声もあった。
カン氏はこう分析する。「HYBEはBTS依存からの脱却を図り、新たなアーティストの育成に注力している。ポストBTSとして注目されるのは、SEVENTEENやTXT(TOMORROW X TOGETHER)、ENHYPENなどだ。これらのグループはグローバルでファンダムを拡大しており、BTSに代わる収益源となる可能性がある」
グローバル音楽企業への課題
HYBEは国内K-POP企業の枠を超え、グローバルな音楽企業への脱皮を目指す。しかし、その道のりは平坦ではない。AI技術の進化による新たな脅威も存在する。カン氏は「AIが音楽制作やファンとの接点に革命をもたらす可能性がある。HYBEはこの変化に対応し、テクノロジーを活用した新たなビジネスモデルを構築する必要がある」と指摘する。
一方で、K-POPの「ラブビジネス」モデルは、ファンの強いエンゲージメントを生み出す点で強みを持つ。HYBEがこの強みを活かし、グローバル市場でどこまで成長できるかが注目される。



