伝統の書道具「水滴」多彩なデザイン、コレクター佐藤さんが魅力語る
伝統の書道具「水滴」多彩なデザイン、コレクターが魅力語る

書道具の「水滴」は、すずりで墨をする際に濃淡を調節するため、水を少量ずつ注ぐのに使うものだ。多彩なデザインの作品が作られており、手のひらにのる美術品としても楽しめる。

多様性に富むモチーフ

水滴は一般的に手に収まるサイズで、注ぎ口と空気穴を備える。別の容器などに張った水に浸して内部を水で満たし、空気穴を指でふさいだり開けたりして注ぐ量を調節しながら、内部の水を注ぎ口から1滴、2滴とすずりに加えていく。蓋付きで注ぎ口があるものを「水差」という場合もある。

水滴コレクターの佐藤辰之さん(73)によると、中国から伝来し、日本でも多くの水滴が作られ、使われてきた。筆、紙、すずり、墨の4種を「文房四宝」というが、「『文房五宝』や『文房六宝』に幅を広げるなら水滴が入りますよ」と佐藤さん。主流の陶磁器のほか、鉄や銅などの金属、ガラスと素材は多岐にわたる。絵付けや金の装飾を施した陶磁器の水滴は見た目にも華やかだ。実用品ながら形状もシンプルな直方体だけでなく、魚や鳥など生物をかたどったもの、果物を模したものなどモチーフは多様性に富む。

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約1500個を所蔵

佐藤さんは、高校時代に書道をたしなみ、卒業後も続ける中で、小さな焼き物の水滴に魅了された。全国の焼き物の産地や工房を訪ねては一つ、また一つと集め、今では約1500個を所蔵する。佐藤さんは「水を注ぐという機能は共通でも、産地や作家ごとに多様な作品が作られ、個性が出るのが魅力」と語る。

ただ、墨汁を使う場合も多い現代ではすずりで墨をする機会が減り、陶磁器の作家で水滴を「知らない」「見たこともない」という人も増えてきた。佐藤さんが作家に説明し、作ってもらうこともあるという。佐藤さんは「水滴は書の文化とともに長年受け継がれてきたもの。水彩で絵を描くときに使ってもいいし、一輪挿しとして使っても風情があります。飾るだけではもったいない。ぜひ一度手に取ってみてください」と話している。

書道教室も開催

佐藤さんは水滴を実際に使える書道教室を開いている。参加者は用意された水滴から好きな品を選び、水滴ごとに異なる使い心地を確かめられる。千葉県市川市の「アートスペースBASAC」で今月28日、9月以降は第1、第3金曜日に開催予定だ。

佐藤辰之さんは高校で書道を始め、卒業後に水滴のコレクションを始める。現在は筆文字アーティスト「驪龍(りりょう)」として地元を中心に活動。コレクションが、市川市の寺院「安国院」境内の「橘ギャラリー」で8月30日まで展示されている。

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