「やっぱり」の一杯 バレエ発表会後のラーメンが娘の決意を後押し
「やっぱり」の一杯 バレエ発表会後のラーメン

発表会が終わったら、娘はバレエをやめると言っていた。3歳から親の意思で始めた習い事だ。小さい頃は無我夢中で踊っていたが、思春期に入り、「もっと上手な子がいる」「他に私に向いていることがあるかも」ともがく日が続いた。

昨日の自分よりうまくなればいいと思えるほど、幼くもなければ大人でもない年頃なのだろう。

発表会当日の舞台裏

発表会の日を迎えた。朝早くから仲間と背中を押し合ってストレッチをし、今ある力を出し切った本番。終演後、外は真っ暗になっていて、おなかをすかせた娘と会場裏の路地で見つけた町中華に入った。

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派手なまつ毛と真っ赤な唇のまま席に着く娘に、周りの視線がヒヤヒヤしたけれど、本人はどこ吹く風。ラーメンを注文し終えると、少し無言になった後、娘がぽつりと言った。

「ねえママ、バレエ、やっぱり続けたい」。

「やっぱり」の一言に込められた意味

返事をする間もなく、娘は運ばれてきたラーメンを勢いよくすすり始めた。仲間と過ごした舞台裏で、どんな自分と向き合ったのだろうか。「やっぱり」の4文字に、これまでの葛藤が詰まっていた気がする。

親が始めさせたバレエを、続けると決めたのは娘自身だった。あの一杯は、舞台の後のご褒美ではなく、自分で選んだ一歩を祝う味だったのかもしれない。(森岡亜希子・38歳、東京都目黒区)

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