黒木華、善悪では割り切れない“矛盾”を体現 中島哲也監督が絶賛「引き算がものすごく上手」
黒木華、善悪では割り切れない“矛盾”を体現 中島監督絶賛

中島哲也監督の最新作『時には懺悔を』(8月28日公開)から、俳優の黒木華が演じる重要人物・尋津民恵の場面写真が新たに公開された。中島監督は、脚本の第1稿から黒木と役柄を作り上げてきた過程を明かし、その演技を「引き算にしていくことがものすごく上手」と絶賛している。

8年ぶりの中島監督作品への参加

本作は、『下妻物語』『嫌われ松子の一生』『告白』などで知られる中島監督が、打海文三の同名小説を映画化した8年ぶりの新作。構想に18年を費やし、過去に傷ついた大人たちが、懸命に生きる“小さな命”と出会うことで変化していく姿を描く。

主人公は、家族との不和を抱えながら生きる孤独な探偵・佐竹三雄(西島秀俊)。探偵が殺害された事件をきっかけに、助手として修業中の中野聡子(満島ひかり)と真相を追うなかで、9年前に起きた新生児誘拐事件へとたどり着く。そこで、誘拐後も生きていた重い障がいのある少年・新の存在が浮かび上がる。

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黒木が演じる民恵は、テレビのニュース番組に映った新の姿を目にし、後に殺害される探偵・米本(佐藤二朗)へ匿名で捜索を依頼した女性。一見すると裕福で何不自由なく暮らしているように見えるが、家族との関係に問題を抱え、自身の過去や本心を周囲に明かそうとしない。彼女が新を捜す理由が、二つの事件を大きく動かしていく。

監督と俳優が築いた役作り

黒木が中島監督作品へ参加するのは、2018年公開の『来る』以来、8年ぶり2度目。「こうしてまた呼んでくださり、とてもうれしいです。頑張ってやってきてよかったと思います」と喜ぶ一方、「中島監督の作品は、やはり一筋縄ではいかない。覚悟を持って参加しなければならないという感覚が思い起こされました」と振り返る。

中島監督が民恵を描くうえで重視したのは、彼女のある一面や行動だけを見て、観客から“悪い人”と受け取られないことだった。脚本の第1稿を書き上げた段階で黒木に渡し、本人の解釈も聞きながら決定稿へと仕上げたという。

黒木も「最初に中島監督から人物シートをいただき、脚本を読みながら、民恵はこういうことを言うのかどうか相談させていただきました」と、撮影前から対話を重ねたことを明かす。

“引き算”の演技と対峙シーン

民恵の複雑な内面を表現するため、黒木が心がけたのは、感情をことさらに強調しないことだった。「民恵は重たいものを背負っていて、考えることの多い役でしたが、その中で、できるだけ嘘のない感情でいられるように心がけていました。私は結婚をしたことも子どもを持った経験もないので、関連するドキュメンタリー番組を見たりしながら、できる限りの準備をしました」と役作りを振り返った。

その芝居に、中島監督は『来る』からの変化を実感。「お芝居の手の多さ、やれることの全部をやらず、むしろ引き算にしていくようなことがものすごく上手になっている」と評価する。さらに、「佐竹と喫茶店で話しているときの迫力、目つき、空気感。その後の聡子とのシーンも、満島さんとのある種の勝負みたいなものが見られて面白かったです」と、表情や視線、佇まいによって内面をにじませる黒木の演技を称えた。

その“引き算”の芝居が際立つ場面のひとつが、予告編にもある聡子が民恵に新の引き取りを懇願するシーンだ。満島演じる聡子がなりふり構わず民恵を追いかける一方、黒木演じる民恵は歩調を乱さず、なおも食い下がる聡子を強い態度で拒絶する。感情をあらわにする満島と、本心を容易に見せない黒木が一対一で対峙する、物語の重要な場面となっている。

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