HYBE MUSIC GROUP傘下の新人ボーイズグループ「aoen(アオエン)」が、2026年4月から12月にかけて47都道府県すべてを回るツアーを実施中だ。世界34都市で88公演のワールドツアーを展開する先輩グループBTSとは対照的に、aoenは地方のライブハウスを巡る“どさ回り”戦略を採用。この取り組みから、K-POPとは一線を画すJ-POP市場攻略の新たな勝算が見えてくる。
全国ツアーの全貌:沖縄からスタート、福井では地元弁でファンを魅了
ツアーは2026年4月の沖縄公演を皮切りにスタート。5月には福井県のライブハウスで公演が行われ、約200人のファンが集まった。福井公演では、2025年3月リリースの楽曲『秒で落ちた』を福井弁で表現するコーナーが設けられ、メンバーの颯太が「秒で落ってるざ」と地元の方言で歌い出すと、客席から歓声が上がった。来場者の内訳は、福井県内在住者とライブ初参加者がそれぞれ半数程度を占めたという。
ライブ終了後にはメンバーが出口でファンを見送るなど、アーティストとファンの距離が近い演出が特徴。一部の地域では、ライブ前にメンバー自らがビラ配りを行うこともあったと報じられている。こうした地道な活動を通じて、SNSやYouTubeでaoenを知ったファンが実際のパフォーマンスを体験し、いわゆる“沼落ち”するケースが増えている。
BTSとの対比:世界ツアーと地方密着の二極戦略
HYBEの先輩アーティストであるBTSは、世界34都市で88公演に及ぶワールドツアーを展開中。韓国の複数の証券会社は、総動員数を400万~500万人規模と試算しており、各地でチケットの争奪戦が繰り広げられている。一方、aoenのツアーは地方の小規模会場を中心に構成され、ファン一人ひとりとの接点を重視する点で対照的だ。
この戦略について、HYBE JAPANの関係者は「K-POPのグローバルな売り出し方とは異なるアプローチを取っている。日本の音楽市場では、地方のファン層を丁寧に掘り起こすことが長期的な成功につながる」と説明する。実際、aoenのツアーでは、各公演で地元の文化や方言を取り入れるなど、地域密着型の演出が随所に見られる。
J-POP市場における勝算:成長ストーリーを共有する仕掛け
aoenの47都道府県ツアーは、アーティストとファンが成長ストーリーを一緒にたどるという、丁寧な仕掛けが特徴だ。デビューから間もない新人グループが、全国の小さな会場を回ることで、ファンは「自分たちがaoenを育てている」という感覚を持ちやすい。これにより、熱心なコアファンの獲得が期待される。
また、地方のライブハウスはキャパシティが小さいため、チケットの入手難易度が高く、結果的にファンの応募意欲を高める効果もある。HYBE JAPANは、この戦略を「日本の音楽シーンに適したファン育成モデル」と位置づけており、今後のJ-POP市場における新たな成長パターンとして注目される。
ツアーは12月のファイナル公演まで続く予定で、各公演の詳細は公式サイトで発表されている。aoenの今後の動向が、日本のエンタメ業界に与える影響は小さくないだろう。



