2023年3月に死去した世界的音楽家・坂本龍一さんが立体映像として現れ、まるで生きているかのようにピアノを演奏するコンサートが日本に初上陸し、ファンの心をつかんでいる。
そこには何もない。だが、観客が透過型ヘッドセット(ゴーグル)を装着すると、坂本さんとグランドピアノが現れる。そして、坂本さんの演奏が始まる。観客は椅子から立ち上がり、すぐそばに立つことができる。
至近距離で感じる息づかい
坂本さんは、少しやせてみえる。でも、背筋を伸ばし、端正に白鍵と黒鍵を押し下げていく。息づかいまで聞こえてきそうな至近距離。ああ、坂本さんは生きているんだとうれしくなるが、むろん錯覚だ。
青く透き通った海に身をゆだねるように、音に身をひたす。やがて演奏が終わる。細い指が、はらりと鍵盤から離れる。そして、坂本さんはふっと姿を消す。いやおうなしに、死の事実を思い出す。不意に切なさが込み上げる。
生前のリアル映像を使用した技術
このコンサートは、ゴーグル越しのリアルな風景の中に坂本さんが浮かび上がる仕組みで、2026年8月に大阪市北区で撮影された。記者はかつて米ニューヨークで取材した経験があり、その記憶と重ね合わせながら、目の前の光景に見入った。
読者からは「生前のリアル映像を使用した技術なのか」「文章に込められた驚くべき熱量のせいもあるだろうけど、いわゆる『AIで生前の雰囲気を再現!』的なモノとの、この好感度の差は何なのだろう」といったコメントが寄せられている。



