すすきの「わかな」、30周年迎えたおばんざいの名店の魅力
すすきの「わかな」30周年 おばんざいの魅力

疲れ果てた時や野菜不足を感じた時、真っ当な味を求めるときに、ふと頭に浮かぶのが「わかな」だ。昨年、開店30周年を迎えた、札幌・すすきのに構えるおばんざいの店である。

メニューはなく、店主が選ぶ9品盛り合わせ

わかなにはメニューがない。まず注文するのは「おばんざい9品盛り合わせ」。苦手な食材を伝えると、店主の鎌田まき子さん(まきさん)がカウンターに並ぶ大皿料理から選んでくれる。季節やその日によって内容は変わるが、定番の一つが「タコのやわらか煮」だ。大皿には一本丸ごと炊いたタコの足が豪快に横たわり、盛り合わせには厚切りで提供される。

生のミズダコを番茶で軟らかく色鮮やかに下ゆでした後、ダシで炊いて味を調える。歯はすっと入るが軟らかすぎず、噛み締めるほどにうま味が広がる。上品な味付けの「卯の花」や「キャベツのナムル」もファンが多く、定番に昇格した。ナムルは自家製のネギ油とニンニク油が奥行きのある味わいを引き出している。何気ない一品に確かな仕事が際立つ。

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その日の食材で作る一品料理も魅力

おばんざいを味わった後は、お腹の空き具合や飲む酒に合わせ、その日の食材で料理を作ってくれる。「もう少し食べられそうですか」という声がけをしながら、食事が少しずつ出来上がっていく。これも店の魅力だ。まきさんは本格的な料理修業はしていないが、生来のセンスと、根室で水産加工業を営む実家で培った鋭敏な舌を頼りに腕を磨いてきた。予約があれば魚を干して焼き魚を用意することもあるが、魚種が減る「夏枯れ」の時期は無理に魚を使わず、夏野菜が主役になる。旬に逆らわず、その時のおいしいものでもてなすのがまきさん流だ。

最近はスマートフォンで注文し、店員とほとんど言葉を交わさずに食事を終える店が増えた。そんな時代だからこそ、客の様子に気を配りながら料理を考え、小さなやり取りを重ねていく「わかな」の時間が一層心に残る。(文・小西由稀、写真・岩浪睦)

住所:札幌市中央区南6西4 ホワイトビル4階
電話:011-563-6950
営業時間:午後6時~11時(オーダーストップ9時30分)、土曜・日曜・祝日休み
おばんざい9品盛り合わせ3850円、一品料理は時価、生ビール770円、日本酒880円から(いずれも税込み)

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