退職後の新たな挑戦、「おてつたび」がシニア層に人気 前年比2.1倍増
退職後の新たな挑戦、「おてつたび」がシニア層に人気 前年比2.1倍増

人手不足に悩む地方のサービス業などと、働きながら旅をしたいという人を結ぶマッチングサービス「おてつたび」が人気を集めている。運営会社(東京都品川区)によると、物価上昇に伴う旅行費用の高騰を背景に、今年7月の利用申込数は前年同月比2倍、50代以上のミドル・シニア層に限れば2.1倍に増加した。登録者数は11万人に達し、長年勤めた会社を定年退職したシニア層の利用が急増している。

報酬と宿泊場所が提供される仕組み

平成31年1月に始まった同サービスは、旅行者が地方の宿泊施設などで短期間就労する対価として、報酬と宿泊場所が提供される仕組みだ。交通費は自己負担だが、滞在費を抑えつつ地域での暮らしや交流を深く体験できるとして注目を集めている。

受け入れ側の事業者にとっても、観光のハイシーズンや農繁期に、全国から柔軟に働き手を確保できるというメリットがある。おてつたび先は利用者が選択し、運営会社の募集サイトには旅館やホテルといった宿泊施設や、キャンプ場、カフェなどのほか、野菜の収穫や射的場のスタッフ、パラグライダーのインストラクターなど多種多様なおてつたびが紹介されている。

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登録者数は11万人超、50代以上が約30%に拡大

令和3年7月に約6000人だった登録ユーザー数は、8年7月に11万人を超え、登録事業者は約2900件に達した。背景には旅行費用の高騰がある。訪日客(インバウンド)の増加や物価上昇で宿泊料金が上昇する中、「旅行を諦める」のではなく「働きながら旅をする」という選択肢が新たに注目され、今年7月の利用申込数は前年同月比2倍に。50代以上のミドル・シニア層は同2.1倍に増加した。

50代以上の参加は、3年は全体の約8%だったが、8年7月には約30%にまで拡大。子育てや介護を終えた主婦、定年退職後のシニアらが「第二の人生への挑戦」や「社会との新たなつながり」を求めて参加するケースが増えているという。

「関係人口」の創出や移住・定住にも期待

平均滞在日数は約2週間。同社のアンケートによると、滞在した場所に再訪したいと回答した人はおよそ85%。「関係人口」の創出や地方への移住・定住にもつながるとも期待され、実際に移住につながったケースも少なくない。

参加者からは「年金生活でも旅行を楽しめる」「宿泊費を気にせず各地に滞在できる」「地域の人との交流が人生を豊かにした」などの声が寄せられている。豊富な社会経験や接客能力を持つミドル・シニア層が、地域の人手不足解消に貢献していると評価する事業者も多い。

現在の50代以上のミドル・シニア層が青年期を過ごした昭和期、長期休みの大学生らの間では、働きながら観光地に滞在する「リゾートバイト」が人気を集めた。その現代版ともいえる「おてつたび」。令和のいま、当時を経験した同世代に浸透しつつあるようだ。

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