焼酎をお茶で割った「お茶割り」の市場が拡大している。サントリーによると、同社のRTD(缶チューハイ)「茉莉花〈ジャスミン茶割・JJ〉缶」の購入層は20〜30代が約7割を占め、市場規模はこの2年で1.6倍に拡大した。特に20〜30代の購入量は3倍以上伸びているという。
専門店とメーカーの取り組み
2016年に都内でお茶割り専門居酒屋「茶割」を開業した多治見智高さんは、「お茶割りは、よくも悪くも“好きな人は好き”で留まっていたジャンルだった」と振り返る。しかし、サントリーや宝焼酎などがRTDのお茶割りを発売し、大衆に広がる土壌ができてきたという。
「いま国内でカテゴリとして成熟させることにこそ、意味があると考えています」(多治見さん)
低負荷志向と若年層の変化
サントリーの佐野弘さんは、「お酒の低負荷ニーズが高まっていて、お話を楽しみたいからあまり酔いたくなかったり、食事を味わうため強い刺激や味がするアルコールは避けたかったりする」と説明。最初の1杯からお茶割りを選ぶ若年層が増えているという。
「JJ缶が登場したことで、“飲みやすいお酒”である認識を持ってもらうことができました。お茶割りを“自分たち向けのお酒”へと、若年層のイメージを転換することができたのではないかと考えています」(佐野さん)
新たな挑戦「お茶のこさいさい」
サントリーはさらに、国産抹茶を使用した「お茶のこさいさい〈緑茶割〉〈紅茶割〉」を東北6県で期間限定発売。開発の中村美保子さんは、「お茶の味わいが中心になることで若年層が飲みやすくなるのであれば、お茶の濃さや香りを主軸にするお酒を出すことで、さらに間口を広げられるのではないかと考えました」と語る。
発売後の実績は計画を上回り、レモンサワーなど別カテゴリーの食中酒を飲んでいた層からも「親しみやすくて買ってみた」という声が届いているという。
お茶割りの未来
中村さんは、「ハイボールやレモンサワーが食中酒として定着したように、お茶割りが次の“食中酒”になれるのではないか」と展望。炭酸が抜けず、ぬるくなっても美味しく飲める特性を武器に、専門店とメーカーが広げてきたこのカテゴリーは、まだ伸びしろを残している。



