県内の和食やフレンチの料理人、ソムリエ、米農家らでつくる「最高の茨城地酒を育てる会」が、茨城の食に合う乾杯酒を開発した。常陸牛など脂の多い食事にも合い、糖分などを加えない無添加にこだわった。最初の600本が22日、発売される。
開発のきっかけと経緯
乾杯酒「稲里 自然発泡純米大吟醸」は、口に含むとシュワッとしたさわやかな炭酸と、甘味調整をしていない米由来の自然な甘みが広がる。酒米は茨城産「ひたち錦」を使ったほか、麹菌や酵母など全ての原材料は県内産だ。
開発のきっかけは、同会代表を務めるレストランイイジマ(水戸市)の社長飯島悟さん(58)が13年ほど前に放った「シャンパンみたいな日本酒できない?」という一言だった。飯島さんは、台湾からの来日客に茨城をアピールすべく自身の店で常陸牛を提供したが、乾杯に日本酒は合わないと感じた。
同会メンバーで、磯蔵酒造(笠間市)の蔵主・磯貴太さん(54)は「簡単に言いやがって」と思いつつ、新たな酒の構想を始めた。当初は常陸牛との相性が良い酒を想定したが、飲食関係の仲間に助言を求めるうちに、幅広い食材に合う酒を目指すようになった。
多様な専門家が集結
仲間の増加に伴い、2024年に同会を設立した。創業200年を超えるウナギ・会席料理「中川楼」(水戸市)や料亭「山口楼」(同)などの老舗からフレンチ、ビストロ、天ぷら店やステーキ店、ハンバーグ店など多種多様な人が集まった。ソムリエや酒米農家、酒販店主も加わった。
試飲会を何度も開き、各料理との相性を吟味した際には、「デザートにはいいが牛肉には合わない」「日本酒ファン以外にはうけない」といった遠慮のない厳しい声が飛び交った。
製法へのこだわりと販売戦略
磯さんは、炭酸ガスを注入しない自然発泡や、シャンパン製造で行われる糖分やリキュールの添加をしない無添加にこだわった。海外の高級酒に負けないよう、製法や手間で差をつけるためだ。ガス圧とアルコール度数、甘さは互いに影響し合うため、瓶の一本一本にガス圧計を付け、冷蔵庫の中の位置を毎日変えながらバランスが合う条件を探した。
22日から出荷する今年の分は1本720ミリリットルの限定600本。県外からわざわざ飲みに来てほしいという願いと、東京ではなく茨城から新しい潮流を作るという思いから、県内にしか卸さないと決めた。
「納得いく酒ができたが、まだ最終形ではない。仲間たちとさらに進化させていく」と飯島さんは意気込む。茨城での乾杯はもっとおいしくなると信じている。



