群馬県が作成したパスポート型の無料観光パンフレット「GUNMA PASSPORT(グンマ・パスポート)」が大きな反響を呼んでいる。7月18日から20日までの3連休には、県庁に設けられた特別窓口が受け取りに訪れた人で混雑した。県は既に申し込みが終了した4万部に加え、6万部の増刷を決め、計10万部の発行を計画している。
3連休で7822部配布 県庁前に長い車列
3連休初日の18日、通常は平日のみ受け取り可能なパスポートを特別窓口で入手するため、県庁前には長い車列ができた。交付窓口では申請完了通知を提示して受け取った来庁者が、県庁に設置されたパスポート用スタンプを押し、観光ガイドや道の駅のイベント情報などのチラシを手に取っていた。この3連休だけで7822部が配布された。
パスポートは本物と同じB7判でフルカラー44ページ。県内の歴史、文化、温泉などを紹介し、全35市町村を巡るスタンプラリーも楽しめる。小学3年の娘と訪れた前橋市のパート従業員の女性(37)は「子供が地元を知るきっかけにもなる。家族で県内を巡りたい」と語った。前日から前橋市内に宿泊して受け取った千葉市の男性会社員(57)は、スタンプラリーで全市町村を巡る考えで、「質感も本物のようで、素晴らしい出来だ。パスポートという切り口は非常に面白い」と満足そうだった。
ネットの「グンマー帝国」ネタが後押し
インターネット上では、群馬県を未開の地と見立てて「グンマー帝国」と呼び、「入るにはパスポートが必要」などと言われてきた。東京都渋谷区から訪れた女性会社員(27)は道の駅巡りなどに関心を示し、「ネットで『グンマー帝国』とネタにされているところに乗っかり、うまく話題になっている」と話した。
パスポートは当初、5月1日に県の公式LINEアカウントを通じて事前申請と配布を始めたが、先着順で受け付けた申請が同日中に上限の1万部に達した。そのため3万部を増刷し、6月29日から3回に分けて希望者を募ることにしたが、初回からアクセスが集中。残る2万部分を抽選方式に変更し、7月9日から15日に受け付けた申し込みは8万2340件に上った。ニーズに応えるため、さらに6万部を増刷し、10月と12月に各3万部の申し込みを抽選方式で受け付ける方針だ。
経済波及効果は約5.9億円 県の戦略と評して
パスポート型パンフレットは他県でも例があるが、こうした大きな反響は異例とみられ、他自治体からの問い合わせもあるという。県観光リトリート推進課は「県の認知度向上に大きく寄与した」とし、経済波及効果は当初の1万部で約5億9000万円に上ると試算する。
県がアンケートなどを集計したところ、パスポートの申込者は県外在住者が約3割を占め、年齢層は幅広く分布。更なる観光施策の検討に生かすため、県ではパスポート提示による代金割引やサービス提供など、連携する事業者も募っている。これまでの4万部の交付にかけた経費は約630万円で、ワイズスペンディング(賢い支出)を掲げる山本知事は24日の定例記者会見で、「これこそ県の戦略の神髄だ」と胸を張った。県では、パスポートを年度内に受け取るように呼びかけている。



