40年続くコーヒー豆専門店に立ち飲みカウンター、2代目が目指すイタリアンバール
40年続くコーヒー豆専門店に立ち飲みカウンター、2代目が目指すイタリアンバール

奈良市で約40年続くコーヒー豆専門店「バンテン珈琲」で、コーヒーの店内提供が始まった。立ち飲みカウンターが新設され、1杯200円からエスプレッソなどが楽しめる。本場イタリアの雰囲気を知る2代目オーナーの南徳明さん(45)は「(店を)人々の『止まり木』のような存在にしたい」と語る。

本場イタリアの刺激を受けて

エスプレッソを注文すると、1分もたたずして表面にきめ細かな泡が浮かんだ少量のコーヒーが出てきた。ここにたっぷりの砂糖を入れるのが「本場流」という。スプーンでかき混ぜ、2、3口で飲み干す。最後に底に残った砂糖をスプーンですくい口にすると、甘い余韻が残った。

小学生の時に初めてイタリアを訪れた南さんは、人々の陽気な雰囲気に魅了されたという。成人してからは飲食店勤務を経て、東京・霞が関や大阪・梅田で約6年間、コーヒーを入れる専門家「バリスタ」として勤務。ビジネスマンらが短い滞在時間でコーヒーを飲みながら談笑し、仕事に戻っていく姿に「バールは人の人生を支えられる場所だ」と確信した。

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また、勉強の一環で欧州を巡るコーヒーツアーに参加し、イタリア人が一日に何度もバールに立ち寄る姿も見た。現地のコーヒーとの付き合い方に、「この手でイタリアンバールを開きたい」という思いを強くした。

先代の引退が転機に

2014年、縁あって奈良市内でバーを開業。店で提供するコーヒー豆の仕入れ先として通っていたのがバンテン珈琲だ。直火式で10キロまで焙煎できる釜で、煎る量を最大3キロに抑え、きちんと火入れすることで深い味わいに仕立てた豆が人気だった。

24年に転機が訪れた。いつものようにバンテン珈琲を訪れると、先代のオーナーから突然「引退するから店を継いでくれ」と言われた。閉店するつもりだったが、常連らからの惜しむ声を受け、店を安心して任せられる人を見極めていたという。「君が継がなかったらここを完全に取っ払う」。先代の言葉に「圧倒的においしいコーヒーをなくすわけにはいかない」と決断した。

新たな一歩、イタリアンバールの実現へ

25年1月から2代目となり、現在はバーと掛け持ちしながら多忙な日々を過ごす。その中で、長年の夢・イタリアンバールの実現へと動きだした。今春にイタリア・フィレンツェ発祥の高級エスプレッソマシン「ラ・マルゾッコ」を導入し、これまで豆のディスプレーに使われていた樽をカウンターの脚にするなどして、約5人が利用できる立ち飲みのスペースを設置。5月末からコーヒーの提供を始めた。「将来的にはアルコールや軽食も提供したい」と意気込む。

国内ではアメリカ発の大手コーヒーチェーンが人気を集め、イタリア流のコーヒーは主流ではないというが、南さんは「ほんの数分でも気軽に立ち寄れ、心が軽くなるような場所を広げたい」と願っている。

イタリアンバールとは、立ち飲みスタイルのイタリア式カフェ。コーヒーがメインだが、軽食のほか夜はアルコールも提供する。イタリア人の多くは一日に何度もバールを利用。少量のエスプレッソを注文し、友人やバリスタと軽く会話をして短時間で店を出るのが主流とされる。

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