妖怪コスプレ人気、ハロウィーンで街おこしに活用する地域も
妖怪コスプレ人気、ハロウィーンで街おこしに活用する地域も

お面や衣装を自らデザインし、オリジナルの妖怪に仮装する人が増えている。自由に創作できる上、ハロウィーンなどを中心に披露する場が増えていることが背景にある。

独創的な妖怪がイベントに登場

東京都台東区の上野恩賜公園で9月22日夕に開かれた「上野ゾク夏祭り」では、電飾を取り付けた盆灯籠の「付喪神」や、白銀色の髪に耳からエメラルドグリーンのアイテムをつけた「すねこすり」など、独創的な妖怪約20体が会場を練り歩いた。付喪神は長い年月を経た物に宿るとされる。

妖怪たちは家族連れや老夫婦から声をかけられ、ポーズを取りながら写真撮影に応じた。東京都内の40代の会社員男性は生活雑貨店で材料を集めて仕上げた付喪神姿で参加し、「3年前から妖怪の仮装を始めた。子どもから高齢者まで声をかけてくれて、多くの人と触れ合える」と魅力を語った。

岐阜県内の30代の公務員男性は牛の頭をした鬼をイメージした姿で登場。「歴史が好きで、妖怪の仮装を今年始めたばかり。イベントに参加することで他の仮装を間近で見られて参考になる。交流の輪も広がる」と話した。

SNSで作り方広がる、専門業者も登場

妖怪文化研究家の河野隼也さん(44)によると、妖怪ブームは漫画やアニメの影響を受けて度々高まっており、近年は仮装も始めやすくなったという。妖怪のお面や衣装の作り方、メイクの方法などがSNS上で紹介され、仮装グッズもフリーマーケットなどで購入できるようになった。

また、地域ごとに土着の妖怪が伝わっており、仮装のモデルとなる妖怪は多く存在する。アニメのキャラクターなどと違って著作権を気にする必要もない。河野さんは「海外から『日本の妖怪は奇妙で独自性がある』と注目されている。妖怪に仮装するイベントはインバウンド(訪日外国人)向けの観光の一つになりうる」と指摘する。

専門業者も登場している。イベント運営会社「妖怪屋」(東京)では昨年5月から、妖怪に仮装する「妖業師」の採用を始めた。現在は8人おり、イベントの出演を通じて人や地域をつなぐ狙いで、今後さらに増やす考えという。

百鬼夜行で地域おこし

こうした人気を背景に、ハロウィーンが行われる10月に、妖怪姿の参加者が中心となって列を作る「百鬼夜行」で街おこしをする地域も出てきた。

静岡県掛川市では2022年から、市民有志らによって10月下旬に百鬼夜行がJR掛川駅周辺で行われている。一部が国指定重要文化財の掛川城など、歴史的な風情の中で練り歩くのが人気だ。今年も約2000人の来場者を見込む。実行委員会は「和装ハロウィーンを楽しみながら、文化財が多くある街の魅力を感じてほしい」と意気込む。

栃木県栃木市では、毎年10月に市役所近くの通りで行われてきた「とちぎ蚤の市」のハロウィーンが、24年から百鬼夜行に切り替えられた。妖怪姿のほうが周辺の蔵の風景と合うといい、商店主らで作る実行委員会は「県外からの参加も増やし、関係人口を創出したい」としている。

妖怪研究の第一人者で国際日本文化研究センター名誉教授の小松和彦さんは「実際には存在しない妖怪をどう表現するかは自由なので、仮装では創造性を発揮して自己表現しやすい。他者の仮装にも関心を持つようになり、交流も活発になっている。妖怪は過去の存在ではなく、現代でも人や地域をつなぐ役割を果たしている」と話した。