TBS系日曜劇場『VIVANT』(毎週日曜 後9:00)で、孤独にモニターと向き合いながら別班を支える天才ハッカー“ブルーウォーカー”こと太田梨歩を演じる花岡すみれ。撮影前はパソコンをほとんど触ったことがなかったという花岡が、タイピングの上達や堺雅人との共演について語った。
天才ハッカーでも「機械のようにはしたくなかった」
天才ハッカーというと、かっこよくて物怖じしないイメージが先行しがちだが、花岡は演出陣と話す中で、ブルーウォーカーは少し人間味があるところが魅力だと感じていたという。「天才ハッカーという能力ばかりが前に出て、感情の揺れが見えない“機械のような存在”にはしたくなかった」と語り、太田梨歩という一人の生身の人間が高いハッキング能力を持ち、“ブルーウォーカー”と呼ばれていることを意識して撮影に臨んだ。
ハッキングシーンのために、撮影直前に手元の操作とセリフを連動させる練習時間を設けてもらったという。「このセリフの後に映像が出るから、ここでEnterキーを押す」といった細かい確認をしてから撮影初日を迎えた。花岡は「実は、それまでパソコンをほとんど触ったことがなくて(笑)。撮影現場でも『ここにひじを置くと自然だよ』と教えていただきました。回を重ねるごとに、少しずつタイピングも上達していると思うので、手元にも注目していただけたらうれしいです」と語った。
乃木の瞳に感じた“吸引力”
堺雅人との芝居で印象的だったのは、じっと真っすぐ目を見て語りかけてくれることだという。「こちらに何かを伝えようとする力と同時に、私からも何かを受け取ろうとしてくださる。その“吸引力”のようなものを、実際に向き合っていてすごく感じました」と花岡は語る。乃木の瞳には「この人なら信じていい」と自然に思わせるものがあり、ずっと孤独だった太田が「この人なら」と思えた理由の一つもそこにあるのではないかと考察した。
モニター越しのやり取りが多かった太田が、乃木と2人きりで実際に向き合うシーンではかなり緊張したが、堺さんが「ブルーウォーカーにとっても緊張感のある場面だから、その緊張を生かしていいんじゃないか」とポジティブに捉えてくれたという。「なくさなくてもいいんだ」と思えるようになり、緊張を役の感情として表現できるようになった。
堺さんは「その早口のセリフ、どうやって練習したの?」と自然に聞いてくれるなど、純粋に興味を持って話しかけてくれるそうだ。「変に謙遜してしまったり、上下関係を感じたりしないような自然な雰囲気を作ってくださる。そういうお人柄も含めて、堺さんが『VIVANT』の撮影現場を支えていらっしゃるんだと感じました」と語った。
撮影3か月前から現場へ 飯田Pの一言が励みに
飯田和孝プロデューサーとは日曜劇場『御上先生』(2025年)に続いての共演で、撮影前に「とにかく不安なんです」と率直に相談したところ、「事前に見学に来てもいいよ」と言ってもらい、撮影前から現場を見学したという。「どんなテンポで撮影が進んでいるのか、撮影現場にどんな空気が流れているのかをあらかじめ知ることができたのは、本当にありがたかったです」と振り返る。第11話の放送後には「凛とした、いいブルーウォーカーだったよ」と声をかけてもらい、「そのひと言がすごくうれしくて、この先、自分で放送を見る時にも大きな励みになりました」と明かした。
見学時に堺さんのセリフ量やたたずまいを見て「ここまで準備をして、やっとスタートラインなんだ」と感じ、「私はその何倍も頑張らなきゃ」と気が引き締まったという。同じ日曜劇場でも、また違った刺激をたくさん受けていると語った。
部屋で実感…「本当に太田梨歩になったんだ」
太田の部屋のセットに入った瞬間に「私は今、太田梨歩になったんだな」と一番強く実感したという。壁のステッカー1枚、机の上の散らかり具合一つとってもスタッフが細部までこだわって作ってくれており、「あの空間から受け取るエネルギーは、お芝居をする上ですごく大きかった」と語る。ちなみに、部屋にあるリンゴは実際に花岡がかじっているそうで、「放送を見た周りの方から『ちゃんと栄養のあるものも食べないと』とツッコまれることがあります(笑)」と明かした。
爆発のシーンでは、台本に「爆発」とひと言書いてあるだけで、頭の中で想像していたものと実際に海外で撮影された映像のスケールが全然違ったという。監督から「そんなもんじゃないよ、もっと激しいんだよ!」と教えられ、海外ロケを終えたスタッフに実際の様子を聞いたり、第1シーズンを見返したりしながらイメージを膨らませていった。「日常ではなかなか体験しないような規模の出来事を、実際には目の前にない状態で想像しながら演じる。想像力をフル回転させてお芝居をするのは初めての経験で、すごく刺激的でした」と語った。
第14話では、逃亡した警視庁サイバー犯罪対策課の「ホワイトハッカー」東条翔太(濱田岳)を、乃木の別人格・F(堺/二役)が追い詰めるところで幕を閉じた。第15話について花岡は「これまで以上に『誰が裏切るのか分からない』『敵がどこにいるのか分からない』という、ヒリヒリした緊張感が加速していくと思います。味方だと思っていた人が本当に味方なのか、逆に敵に見えている人にも何か理由があるのか…。さまざまな人物の思惑が入り交じっているので、これまで散りばめられてきた伏線を振り返りながら、『あの時のあれは、こういう意味だったのかな』と思っていただけると、より楽しめると思います」と語った。



