ショートショートで知られるSF作家の星新一(1926~97年)の、未発表とみられる作品が見つかった。28日に刊行されるエッセー集「きまぐれカプセル」(新潮文庫)に収録される。今年は星の生誕100年にあたり、その魅力に改めて光が当たりそうだ。
書斎の遺品から発見、手書き原稿
作品は星の書斎の遺品を整理する中で見つかり、原稿用紙ではない紙2枚に、手書きのペンでびっしりと書かれていた。紙の左端の余白に「神殿」というメモがあったが、同名の作品がすでにあるため、星の次女・マリナさんが「聖地」と題を付けた。雑誌などへの掲載記録が見つかっておらず、未発表作品とみられる。
マリナさんは、「父はデビュー後、徐々に下書きの字が小さくなっていった。字の大きさから、これは初期の作品だったのではないか」と推測する。
「聖地」の内容とAI時代への感慨
「聖地」は、膨大な電力を使い機械で神を作ったことに端を発する幻想的な作品だ。余白部分には「神 ロケット島流し」というメモも記されており、星はさらなる展開を考えていた可能性もあるという。
マリナさんは「父は書いたことを完全に忘れていたのかもしれない。見つかったのが生誕100年であるばかりでなく、AI(人工知能)の電力使用が問題になっている時期だったというのは感慨深い。見つけたというよりも、書名の通りタイムカプセルから出てきたような感じです」と語った。
「きまぐれカプセル」の構成
「きまぐれカプセル」は、これまで書籍未収録だったエッセーを中心に、内容に応じて幼少期から晩年までの順で配置した文庫オリジナル作品。「聖地」を含め、本に未収録だった作品3編も収録している。



