新潟県三条市の中央商店街に、2023年4月、絵本専門店「絵本の店 omamori」がオープンした。黄色い柱と大きな窓が特徴の店には、カフェのような空間に約300冊の絵本が並ぶ。
「お守り」になる絵本を厳選
店主のまるのさきさん(30)は「さみしい時に絵本を読むと少しだけ心が楽になる。そんな誰かの『お守り』になりそうな絵本を選んで置いている」と話す。店内には動物と子どもの交流を描いた絵本やしかけ絵本のほか、詩集やレシピ本も置かれている。
まるのさんは2022年に埼玉県から三条市へ移住。きっかけはコロナ禍で、リモートワークが増える中「誰かに直接価値を渡すことができる仕事がしたい」と考えていた時に、書店事業で街を活性化させる地域おこし協力隊の募集を知った。
薬剤師の母から着想
薬剤師の母を見て育ったまるのさんは、患者に合う薬を処方するように、客の気持ちや悩みを聞きながら選書する本屋のアイデアを思いついた。「お守りは薬のように絶対に効くものではないけれど、持っていればちょっと安心できる。そんな絵本を届けたい」と語る。イベントへの出店や間借り営業を経て、開店にこぎ着けた。
店内には開店当初から常に置いてある絵本がある。「おくりものはナンニモナイ」(パトリック・マクドネル作、谷川俊太郎訳)だ。多忙だった会社員時代に知人からもらった誕生日プレゼントで、シンプルな絵と文字だけの本だが、周りを大切にすることの大切さに気づかせてくれた一冊だという。
オンライン選書も開始
まるのさんは「絵本は子どもだけでなく、大人の心を動かす力も持っている」と信じている。2024年1月にはECサイトを開設し、「オンライン選書」も始めた。購入者の好みや悩み、近況を記入してもらい、それに基づいてまるのさんが一人ひとりに合った絵本を選び、理由を書いた手紙を添えて配送するサービスだ。
まるのさんは「普段は本棚で部屋の風景となっていても、疲れた時やさみしい時に手にとってみようと思えるところが紙の本の良さ。お守りは常にそばにあることが大切。そんな本を提供していきたい」と話す。



