福岡県みやま市の「筒井時正玩具花火製造所」は、稲わらの芯に火薬を付けた「スボ手牡丹」と、薄い紙で火薬を巻いた「長手牡丹」の2種類の線香花火を製造している。線香花火は江戸時代、稲わらが豊富だった関西地方で誕生したとされ、先端に火薬を付けたワラスボを香炉に立てて楽しんだのが始まりという。
線香花火の4段階の変化
3代目の筒井良太さんによると、線香花火は火の玉が大きくなる「蕾」、火花が散る「牡丹」、勢いが増す「松葉」、最後に菊が散るように消える「散り菊」と4段階に変化する。筒井さんは「一本一本に命が宿っているようで、違う表情を見せる。地味なようで実は一番華やかな花火です」と語る。
伝統を守る取り組み
同製造所は1929年創業。外国産に押され国内業者が減る中、筒井さんの伯父が営んでいた製造所が99年に廃業した際、技術や職人、道具を引き継いだ。火薬には宮崎県産の松の株をいぶした「松煙」を使用し、1本あたりの火薬量はわずか0.08グラム。専用道具で紙の先端に載せ、指先でねじって包む繊細な技が求められる。
贈答用商品とワークショップ
妻の今日子さんの提案で、八女市の手すき和紙を使い、持ち手を花びらにした贈答用「花」シリーズを開発。東京のギフトショーで人気となり、セレクトショップや百貨店でも扱われる。ワラスボの仕入れ先廃業に伴い、耕作放棄地での米作りも始め、ワークショップは親子連れに人気だ。筒井さんは「江戸時代から続く伝統文化を守っていきたい」と話す。
山梨県の専門店「はなびかん」の立川伸明さんは「伝統的な花火には根源的な火の美しさがあり、暑さを忘れさせてくれます」とコメント。東京都内でも公園での手持ち花火解禁が広がる中、立川さんは「ルールを守って楽しんでほしい」と呼びかけている。



