文化勲章受章者で日本を代表する彫刻家の中村晋也さん(鹿児島市)が7月29日、100歳の誕生日を迎えた。戦没者の慰霊碑や著名人の立像、仏教者の像など1000点以上の作品を生み出してきた「生涯彫刻家」だ。
現在も毎日約6時間、制作に打ち込む。依頼された仕事は断らず、制作意欲は衰え知らずだ。
100歳の実感は「70か80ぐらい」
7月20日午後、中村さんは自宅で取材に応じた。100歳になる感慨を尋ねると、「100歳? 誰が?」とぴんとこない様子。自身の実感として何歳ぐらいかと聞くと、「70か80ぐらい」と答えた。
戦時下で絵にめざめ、彫刻の道へ
中村さんは1926年7月29日に三重県で生まれた。満州事変から日中戦争、太平洋戦争へと続く戦時下で絵にめざめ、東京高等師範学校に進学。在学中に陸軍に召集されたが、病気で入院中に敗戦を迎えた。
復学した後、画材などでお金がかかる絵をあきらめて、「粘土さえあれば創作できる」彫刻の道を志した。1949年に同校を卒業すると、鹿児島大学に職を得た。以来70年以上、2度のフランス留学の期間を除いて、鹿児島を拠点に創作に取り組んでいる。
「祈り」を生涯のテーマに
数々の写実的な具象彫刻を手がけてきた。対象を決めると、徹底した取材を重ねて内面に迫る。そうして完成する像は、その人物の深い精神性まで表現する。軍隊で命を見つめた経験を原点に、「祈り」を生涯のテーマとしている。



