8月23日、フィギュアスケートの「りくりゅう」ペアが婚約を発表し、氷上のプロポーズ写真が公開された。ネット上では祝福の声が広がる一方で、一般的な「匂わせ」とは異なる受け止め方をされた理由について、ネットメディア研究家の城戸譲氏が分析している。
「匂わせ」との違いは、リンクの上で積み上げた結果
一般的に「匂わせ」が嫌われる背景には、著名人に選ばれたことで得た“まるで借り物のようなステータス”があると城戸氏は指摘する。しかし、りくりゅうの場合は、努力を重ねた末に勝ち取ったものであり、その差は大きい。
勝った時も、思うような結果が出なかった時も、2人はリンクの上にいた。その歩みを見てきた人たちにとって、婚約は突然始まった「急転直下」の出来事ではなく、長く続いてきたスケーターの物語に加わった「新しい章」だったと城戸氏はみる。
ファンは「探偵」ではなく「証人」だった
だからこそファンは、交際の秘密を暴く「探偵」になる必要がなかった。2人の歩みを見届けてきた「証人」のまま、婚約を祝福できたのだと城戸氏は説明する。
りくりゅうが受け入れられた背景には、多くの人と共有されてきた「物語」がある。演技後のキス・アンド・クライも、記者会見の涙も、その都度さらけ出してきた。喜びも悔しさも、隠さずに見せる7年間だった。
そこまで見せていれば、あえて隠された私生活を探ろうという動機は生まれにくい。ファンはすでに、知りたいことの大半を知っている。反対に、断片的な恋愛アピールだけが前に出れば、それを受け止める物語は薄く見える。「匂わせ」が嫌われるのは、投稿そのものより、背後にある物語の不在が透けるからだと城戸氏は結論づけている。



