絵本『はじめてのおつかい』や『こんとあき』で知られる絵本作家の林明子(本名・征矢明子)さんが1日、肺炎のため亡くなった。享年81歳。林さんの祖母は生前、鳥取市に住んでおり、両親も同市出身。代表作の一つである『こんとあき』は、少女とキツネのぬいぐるみの冒険を描いた作品で、鳥取砂丘が舞台となっている。
鳥取に残る林明子さんの足跡
鳥取市西町にある児童文化施設「わらべ館」2階のイベントホールには、鳥取砂丘で手をつなぐ「こん」と「あき」の壁画が飾られている。縦2.2メートル、横3.3メートルの有田焼のレリーフで、1995年のわらべ館開館に合わせて制作された。
また、鳥取市尚徳町の鳥取県立図書館では、林さんの原画や作品を集めた追悼コーナーが設置された。原画は1990年の開館時に同館へ贈られたもので、『おつきさまこんばんは』『魔女の宅急便』など林さんが手がけた多くの本が並べられている。
今なお人気の作品群
鳥取県立図書館の貸し出しランキングでは、林さんの作品が今も上位10位以内に入り、何度も読まれてボロボロになった本も少なくない。林さんは1992年に同県の総合情報誌に寄稿した際、次のような一文を残している。「砂丘の海に沈む赤い太陽も、こどもの頃の大切な思い出の風景です。わが鳥取のこどもたちが、この絵本を楽しんでくれますように!」
「こんとあき」と鳥取砂丘の絆
『こんとあき』は、少女あきとキツネのぬいぐるみ「こん」が列車に乗って鳥取砂丘を訪れる物語。林さん自身が幼少期に鳥取砂丘で過ごした思い出が作品に色濃く反映されている。鳥取県立図書館の担当者は「林さんの作品は世代を超えて愛され、特に地元の子どもたちにとっては特別な存在」と語る。
林明子さんの死去を受け、鳥取県内では追悼の声が広がっている。わらべ館の壁画の前では、訪れた親子連れが静かに手を合わせる姿も見られた。林さんの作品は、今後も多くの子どもたちに読み継がれていくことだろう。



