36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年の京都アニメーション放火殺人事件は18日、発生から7年を迎えた。アニメーターの息子を亡くした80代の男性は、事件直後から毎朝、折り鶴を作り続け、その数は2500を超えた。
「さみしさだけが募っていく」
男性は取材に、静かに息子への思いを語った。「息子に会いたくても会えない。ただ、さみしさだけが募っていく」
息子は2人兄弟の弟で、「几帳面な兄に比べて大雑把だが、優しかった」。毎月のように孫を連れて会いに来てくれていたという。
息子が京アニに入社した当時、会社の規模は今より小さく、親としては当初、就職に反対だった。それでも、息子が細密な作業が求められる仕事に向き合い続け、周囲からも評価されていることを知り、「一つのことをやり遂げる力に感心した」と振り返る。
「今会えたら、ちょっとは褒めてやりたい」
仕事が話題に上ることは少なく、面と向かって活躍を褒める機会はなかった。息子なりに、努力を重ねていたのだろうと想像する。「今会えたら、ちょっとは褒めてやりたい。照れて何も言わないと思うが、したり顔でもするかな」
事件の前月も、元気な顔を見せてくれた。「気を付けて帰れよ」と伝えると、息子は「おやじもな」と応えた。それが最期に交わした言葉となった。
毎朝の折り鶴、2500羽超え
志半ばで命を奪われた息子の冥福を祈り、事件直後から朝ご飯の後に折り鶴を毎日1羽ずつ折ってきた。「息子を思い続けてやることが、親の務め。さみしさや悲しみは癒えないが、欠かした日はない」。翼の部分には折った日付とともに事件からの日数を記載しており、今年5月には、2500を刻んだ。
折り鶴は毎年、命日にその1年間に作った分をまとめて追悼式に持参し、供えている。
京アニへの思い
京アニが、事件後も人気作品を生み出し続けていることについて「息子が選んだ会社だから繁栄を続けてほしい。天国で息子にいい報告ができたら」と望んだ。
京アニによる追悼式は18日、現場となった第1スタジオ跡地(京都市伏見区)で、非公開で営まれる予定。京アニは、静かな環境を確保するためとして、跡地を訪れないように呼びかけている。



