前衛美術家の草間彌生(やよい)さんの訃報が伝えられた27日、作品を展示する十和田市現代美術館の元館長は「まだまだ創作を続けると思っていた。残念だ」と悼み、作品を訪れていたファンも別れを惜しんだ。
「愛はとこしえ十和田でうたう」の展示と草間さんとのエピソード
同美術館の屋外に、草間さんの作品「愛はとこしえ十和田でうたう」が展示されたのは2010年4月。式典への草間さんの出席は、予定外のことだった。
当時、同美術館の館長だった高屋昌幸さん(69)によると、参加予定だった海外の作家が来日できなくなった。草間さんの事務所に相談したところ「困っているなら行きます」と快諾してくれたという。「制作以外ではアトリエからあまり出ないと聞いていたので、思いもよらないプレゼントだった」と振り返る。
「国内でも珍しい」大規模インスタレーション
「愛はとこしえ」は黄色いカボチャに黒い水玉模様が描かれた「十和田で発見された私の黄色カボチャ」など8作品が並ぶ大規模なインスタレーション(空間芸術)作品で、「国内でも珍しい」(同美術館担当者)という。高屋さんは草間さんが「十和田はとてもよい」と繰り返していたのを覚えている。
式典前日のレセプションで、草間さんは自作の詩を朗読した。「事務所担当者もびっくりしていて、『よほどうれしかったんでしょう』と。純粋な女の子のまま、というのが伝わってきた」と話した。
この時、草間さんは「高屋館長さんはどちらにいらっしゃるの?」と気さくに声をかけてくれたという。高屋さんは「作品にものすごくのめり込むアーティストだった一方で、気配りをしてくれるかわいらしい人だった」としのんだ。
ファンからも悼む声
名古屋市の無職新谷ちよ子さん(72)は27日、草間さんの作品を目当てに、同美術館を訪れた。「新しい作品も見たかったので残念。カラフルな作品を見ていると楽しくなり、心が洗われるようで明日から頑張ろうと思えた」と悼んだ。



