国立映画アーカイブは17日、黒澤明監督が撮影途中で解任されたアメリカ映画「トラ・トラ・トラ!」の撮影現場音声テープを発見したと発表した。黒澤監督の撮影フィルムは現存が確認されていない中で、「極めて貴重な記録」だとしている。
幻の米映画「トラ・トラ・トラ!」とは
「トラ・トラ・トラ!」は黒澤が初めて取り組んだ外国映画の企画で、真珠湾攻撃を題材にした大作。黒澤が日本側の監督として1968年12月にクランクインしたが、約3週間後に解任された。その理由をめぐっては、当初ノイローゼや病気が原因とされたが、後に本人が否認するなど、映画史の「謎」とされてきた。
発見された音声テープの内容
今回見つかったのは、12月2日から21日にかけて監督した部分の音声テープ11本で、計2時間18分。黒澤が出演者に「その感じでいきましょう、やっぱり無理なんですよ、あなたは甲高い声…」「そういう芝居するだろ、するからいけないんだ」と指導する様子や、カット後の「ハイオーケー、お疲れ!」といった声が収められている。
この音声テープは当時、現場の録音技師が記録として残していたものとみられる。国立映画アーカイブの担当者は「黒澤監督の演出スタイルや解任の背景を探る上で、極めて重要な資料となる」と話している。
映画史の謎を解く鍵
「トラ・トラ・トラ!」は日米合作の大作で、真珠湾攻撃を両国の視点から描く意図があった。黒澤解任後は深作欣二が日本側監督を引き継ぎ、1970年に公開された。黒澤の撮影フィルムは現存しておらず、音声テープは当時の演出や現場の雰囲気を伝える唯一の記録として注目される。



