「動物が一番かわいそう。人間たちがそうしたんだから」――第35回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『板ばさみ 違法動物園と、人間たち』(北海道文化放送制作)が、フジテレビで7日(26:50~ ※関東ローカル)に放送される。番組は、人気を博した動物園「ノースサファリサッポロ」の違法建築問題と、残された200匹以上の動物たちの行方を追う。
「日本一危険な動物園」の実態
札幌市南区にあった「ノースサファリサッポロ」は、「日本一危険な動物園」というキャッチフレーズで知られ、トラなどの猛獣にエサをあげたり、アザラシやヘビと一泊できる宿泊施設が注目を集め、メディアでも頻繁に取り上げられてきた。しかし、2005年の開園以来、開発制限区域である市街化調整区域に、無許可で獣舎や宿泊施設を建設。札幌市は開園前の2004年から20年間にわたり、無許可建築物の是正を17回指導してきたが、園側は増設を繰り返し、無許可建築物は最終的に183棟にまで拡大した。
閉園から撤去命令へ
この対応が問題視され、2025年9月に閉園。札幌市は長年、獣舎などの撤去を求めてきたが、ようやく「ノースサファリ」も撤去を表明した。しかし、まずは園内の動物を移動させる必要があり、200匹以上の動物たちの受け入れ先探しが難航。北海道内の公営動物園は飼育スペースや検疫の問題で受け入れを断り、2004年に閉園した札幌市内の熊牧場では、閉園後もヒグマ2頭が引き取り手が見つからず飼育され続けている現実もある。
三重県の民間動物園がアライグマ4匹とメンフクロウ2羽を引き取ったが、全体のごく一部に過ぎない。資金を投じて動物を救おうとする動きも、地域住民の猛反発で白紙に。業を煮やした札幌市は、2026年10月末を撤去期限とする法的義務を伴う行政処分「除却命令」に踏み切った。
ディレクターが見た問題の核心
番組ディレクターの水上孝一郎氏(北海道文化放送報道情報部)は、入社以来「ノースサファリは動物と触れ合える楽しい動物園」というイメージを持ち続けていたという。違法開発問題が表面化した2025年2月以降も「なんでこんなことに…と、ショックを拭えないままでいる」と語る。取材を通じて運営会社の認識や行政のルール、立場を理解した一方、「居場所を失った動物たちが心配」と述べ、三重県の動物園園長が「動物が一番かわいそう。人間たちがそうしたんだから」と話したことに触れ、「この問題の核心に近づけた気がする」とコメント。行き場のない動物たちの行方と人間の解決策を視聴者とともに考えたいとしている。
札幌市長も対応の遅れを振り返る
番組では、秋元克広札幌市長が対応の遅れを振り返る場面も。また、動物を救おうと乗り出したビーチキャピタルの赤沢芳樹社長の動きも取材。法律、立場、感情の間で板ばさみになる動物たちの未来を追う。



