2026年7月8日、東京都内で行われた『第52回放送文化基金賞贈呈式』において、NHK『夜ドラ ひらやすみ』がドラマ部門最優秀賞を受賞した。また、同作に出演した岡山天音と森七菜が演技賞を獲得した。
『ひらやすみ』のあらすじと評価
『ひらやすみ』は、29歳のフリーター・生田ヒロト(岡山天音)が、人柄の良さから近所の老婦人・和田はなえから一戸建ての平屋を譲り受け、山形から上京してきたいとこ・小林なつみ(森七菜)と共同生活を始める物語。ヒロトの周りには生きづらさを抱える人々が集まり、現代社会に一息つける温かなドラマとして描かれた。
選考理由では、「平屋に住むことと平に休みにすることを掛けたタイトルが示すように、せわしない現代生活にホッと息をつかせてくれる作品」と評価。一戸建てを他人からもらう設定をチャールズ・ディケンズの『大いなる遺産』型の夢の設定に例え、幸せは目の前にあるのに気づかないというT・ワイルダーの『わが町』型テーマを究極の優しさで描いた傑作と絶賛。さらに、俳優陣の演技やナレーションの優れた点も強調された。
岡山天音の演技賞受賞理由
岡山天音は、『ひらやすみ』で演じた生田ヒロトについて、「俳優・岡山天音の持つ魅力のすべてが結実したかのようなナチュラルさ」と評価。どこまでも優しく他者を思いやる人物を、自然かつ内省的に表現した点が称賛された。選考委員は「これまで屈折した陰のある役や野心的な役をこなしてきた岡山だが、人のつらさや痛みを知っているからこそ、生きることを慈しむ品性のある人物を体現できた」と述べている。
受賞スピーチで岡山は、「原作から大好きで読んでいた。ヒロトは自分の声に準じて生きており、価値や勝ち負けとは違う美意識を持っている。そんな役を任せていただき、今日を迎えられたことをうれしく思う」と喜びを語った。また、「不安な日々を過ごしたこともあったが、友人や家族、現場の皆さんのおかげで今日がある」と感謝の意を表した。
森七菜の演技賞受賞理由
森七菜は、不器用な十代の美大生・なつみ役を演じ、ヒロトや大学の友達との関係性の変化を繊細かつ爽快に演じた。選考理由では、「最初は自意識過剰な駄々っ子をコミカルに演じ、次第に自信を持っていく成長をしっかりと表現。視線や表情、体の動きを大きく使いながら過剰にならない自然な演技力は尋常ではない」と高く評価された。特に、岡山との「あうんの呼吸」での共演が際立ったとし、「将来が楽しみな女優」と評された。
森はトロフィーを手に、「夏の間、平屋でみんなで切磋琢磨しながら撮影した作品。非日常な空間にチームの皆さんと来られて驚きと緊張があるが、皆さんのドレスアップ姿を見られてうれしい」と笑顔。また、「歴史ある賞をいただき、本当にうれしい。『ひらやすみ』のような作品が輝き続ける世界を祈りながら、真面目にお芝居を続けたい」と述べた。
授賞式の詳細と他の受賞者
授賞式には、共演者の吉村界人、光嶌なづな、根岸季衣も登壇した。第52回放送文化基金賞は、2025年4月から2026年3月までに放送・配信された番組・コンテンツを対象に、全国の民放、NHK、動画配信会社などから317件の応募・推薦があった。4月から約2か月にわたる審査の結果、ドキュメンタリー、ドラマ、エンターテインメント、ラジオの4部門で16作品と、演技賞や企画・制作賞など個人7件、放送文化・放送技術部門で8件、特別賞1件が選ばれた。
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このほか、TBSの西村匡史記者が放送文化部門を受賞(死刑取材を17年継続)、ドラマ部門奨励賞に『シナントロープ』(水上恒司がスピンオフを熱望)、エンターテインメント部門優秀賞にフジテレビ『シンギュラ』(AI活用企画)などが選ばれている。



