中学のクラス替えで不登校に ひかりんちょさん「自分が一番の味方でいて」
中学クラス替えで不登校 ひかりんちょさん「自分が一番の味方で」

タレントでインフルエンサーのひかりんちょさん(23)は、中学2年のクラス替えで仲良しの友達と離れてしまい、不登校となりました。SNSへの動画投稿を通じて地元でも知られた存在だったため、教室で一人寂しくいるところを見られたくなかったそうです。「自分の人生だから」と強がってはいたものの、みんなと同じように学校に行けていないことに悩みました。そんな時に心の支えだったのは、SNSで発信した悩みに共感してくれる人の存在でした。

クラス替えで友達ゼロに

ひかりんちょさんは小学生の頃から友達作りが苦手でした。嫌なことがあればはっきりと気持ちを伝える性格で、仲良しグループを自ら離れていくこともよくありました。モヤモヤを抱えながら仲良くするよりは、一人で過ごす方が気持ちは楽だったといいます。

SNSでの発信を始めたのは小学5年のとき。ファッションイベントでランウェーを歩くモデルを見て「自分も誰かに見てもらいたい」と、自撮りの動画をアップしたのが最初でした。さまざまなSNSアプリに手を広げ、ダンスの動画を上げていくうちに、少しずつフォロワー数が伸びていきました。

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中学校に進級するときには地元でも有名になり、入学時には「今年の1年にひかりんちょがいるらしいよ」と校内でうわさになるほどでした。通っていた公立中学では他の学年の階には行ってはいけないルールがありましたが、急に30人くらいの3年生が「ひかりんちょって誰?」と教室に押し寄せてきたこともありました。SNSでの動画投稿は楽しく、学校での友達作りも順調で、充実した中学校生活を送れていました。

教室で一人の姿を見られたくなくて

2年生に進級するときのクラス替えで状況が一変しました。新しいクラスに仲良しの友達が一人もいなくなったのです。既に出来上がっていたグループの輪になかなか入れず、はじめは頑張って話し掛けていましたが、話題についていけず、三つくらいのグループを転々としました。「本当はみんな、気を使って仲間に入れてくれたんじゃないのか」と思い悩むようになり、勝手に周りの空気を読み過ぎて、教室で一人で過ごす時間が増えていきました。

SNSではキャピキャピしているのに、教室では独りぼっち。そんな姿を同級生たちに見られたくなく、学校という空間が怖くなりました。新学期から1か月がたつ頃には学校から足が遠のき始め、夏休み明けからは完全に行けなくなってしまいました。長期休み明けに不登校となる典型的なパターンです。

「学校に行かない選択は間違っていない」

母親は最初のうちは「そういう時もあるよね」と大目に見てくれていましたが、次第に「学校行きなさい」とどなられる回数が増えていきました。その度にひかりんちょさんは「自分の人生だから!」と言い返しました。「誰がお金払ってると思ってるの」「高校行けないよ」と叱責され、スマホを取り上げられることもありました。殴り合いのけんかもしたといいます。

反論の言葉は決まって「自分の人生だから!」でしたが、本心ではなく、自分自身を守るための言葉でした。誰もが当たり前に行っている学校に行けていない弱い自分が大嫌いでしたが、当時は「学校に行かない選択は何も間違っていない」と自分に毎日言い聞かせていました。

苦しい思いを誰かに聞いてもらいたくてスクールカウンセラーに相談したこともありますが、「中学の人間関係なんてたった3年のことだよ」とまったく共感してもらえませんでした。大人に相談しても、大人側の意見を押しつけられることを思い知るだけでした。

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SNSでの気づきと母との対話

中学2年の終わり、思い切って不登校の悩みをSNSでぶつけてみると、「私も同じ事で悩んでいた」などと、思いのほか共感してくれる人がたくさんいました。それまでは「こんなことで悩む自分は弱い」と自分を否定し続けてきましたが、悩むこと自体はおかしくないことに気づき、心が軽くなりました。

同じ頃、母とお互いの思いをぶつけ合う大げんかをしました。母は中学にあまり行かずに仕事で苦労した経験から、「学校に行って将来の選択肢を広げてほしい」と訴えました。ひかりんちょさんが「誰も理解してくれないのがつらい」と本心を打ち明けると、母は「自分の人生だからね」と少し理解してくれるようになりました。ひかりんちょさんも、家計に余裕がないのに学費を捻出してくれている親に歩み寄ろうと考えを改めました。

中学3年のクラス替えで再登校にチャレンジしましたが、やっぱり無理でした。あからさまに嫌っている同級生がいて、学校に行くのがつらいだけでした。「居場所は学校だけじゃない」と本心から思え、自分の心を最優先したいと前向きに学校に行かない選択をしました。

今も続く悩みとメッセージ

「私は学校から逃げました。ですが、間違いだったとは思っていません。無理をしながら行った学校で心を傷つけ続けるよりも、自分の心を守ろうとした選択は正しかったと思います」と振り返ります。ただ、「中学にちゃんと行っておけばよかった」と後悔する瞬間もあるそうです。出席日数が足りず高校は通信制に進みましたが、文化祭などの行事はなく、思い描いていたキラキラなJK(女子高生)とはほど遠い高校生活でした。「制服ディズニー」などJKライフを満喫する友達の姿をSNSで目にすると、気持ちが沈んだといいます。

学校に行けず苦しかったとき、逃げ場となったSNSの活動がきっかけで、当時の事務所にスカウトされ芸能活動を始めました。おととしには不登校生による動画コンテストのアンバサダーを務めるなど、中学時代に悩み抜いた経験が生きています。

「今でも悩みは尽きません。理由も分からず落ち込むこともあれば、『自分のここが嫌い』と涙を流すことだってあります。ですが、悩むからこそ、自分と向き合えているのだと思います。私自身がレベルアップできる機会だとポジティブに捉えるようにしています」と話します。

「学校や友達、家族に、恋愛――。みなさんもたくさん悩むことがあると思います。悩むことはおかしいことではありません。楽しいと感じる自分も、しんどいと思う自分も、すべてあなたです。自分が一番の味方でいてあげてください」と呼び掛けています。

ひかりんちょさんは静岡県出身で、SNSの総フォロワー数が140万人超のインフルエンサー。テレビやラジオでもマルチに活動しています。著書に同世代の悩みに答えた「17歳 自分のことを愛せないと誰のことも愛せない」(KADOKAWA)などがあります。