大阪で長く暮らす80代の兄は、義姉に先立たれ一人暮らしを続けている。若い頃は病気がちだったが、今は元気に過ごしている。そんな兄から、白内障の手術を無事終えたという電話があった。
手術後の電車での出来事
兄は自宅から病院まで約1時間かけて電車で通っていた。手術後、片方の目に眼帯をし、眼鏡をかけて帰宅する電車の中で、向かいに座っていた小さな女の子が不思議そうに兄を見つめていた。すると、その女の子は兄の隣にちょこんと座り、きれいな大きな目でまっすぐ見上げて「どうしたん?」と尋ねたという。
兄が「目が悪うなって手術しましたんや」と答えると、女の子は納得した様子で席を離れ、近くに座っていた老夫婦のところへ行き、何やら説明しているようだった。次の駅でその老夫婦が降り際に兄に向かって「お大事に」と言ってくれたという。
女の子の母親の存在
妹の恩賀雪子さん(88)が兄に「その子のお母さんは?」と尋ねると、兄は「もう1人赤ちゃん抱っこして笑うてはったわ」と答えた。兄は「女の子ってかわいいなあ、まるで天使みたいやったわ、いや!あの子は天使やわ、素直に育ったはるなァと感心してな、わしもええ気分で帰ってきましてん」と嬉しそうに語った。
妹も感じた温かい気持ち
子供に恵まれなかった兄の喜びに満ちた報告を聞きながら、恩賀さんは「その子はやっぱり天使だったのだろうか」と思い、受話器を置いた後も優しく満たされた気分になり、自然と笑みがこぼれたという。
このエピソードは、日常の小さな親切がどれほど人の心を温めるかを物語っている。特に高齢者にとって、見知らぬ人の優しさは大きな支えとなる。兄の体験は、電車という公共の場で、小さな女の子の純真な行動が周囲の人々に連鎖的な優しさを生んだ好例と言えるだろう。



