2026年6月20日~21日、幕張メッセで開催された「Shadowverse Fes 2026」で、作曲家・池頼広氏指揮によるオーケストラコンサートが行われた。池氏は『相棒』『TIGER & BUNNY』『どろろ』など数多くのテレビドラマや映画、アニメの楽曲を手掛ける一方、2026年で10周年を迎えたデジタルカードゲーム『Shadowverse(シャドバ)』シリーズの全楽曲を担当している。
全楽曲は「オーケストラで演奏すること」を想定
2025年にリリースされた新作『Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバWB)』では、新空間「シャドバパーク」に合わせ「ライトタッチな音楽を増やしたい」というリクエストがあったが、最終的には派手でかっこいい曲が中心になった。池氏は「今回のようなオーケストラコンサートがあっても『演奏できる』ように書いていた」と語る。2020年にも幕張メッセでコンサートを実施した経験から、再現性のある楽曲を意識したという。
最も挑戦的だった楽曲「大いなる決闘」
10年間で最も挑戦的だった楽曲として、池氏はCygames主催初の世界大会「Shadowverse World Grand Prix 2018」のために作った「大いなる決闘」を挙げた。この曲はiTunes Storeで1位を獲得し、アメリカのスタジオに向かう途中で知らされ、驚いたという。「何が世界大会でウケるのか、どういうものが聴いている人の記憶に残るのかと本当に悩んで書いた」と振り返る。こだわりは「覚えやすさ」と「かっこよさ」の両立で、メロディーが覚えやすいことを重視した。
苦労した楽曲と遊び心
新弾カードパックのPV曲は「2ヶ月に1度、テーマ曲を書き続けるのは結構大変」と語る。印象的なリーダーテーマ曲としては、ローウェンの曲(金管の限界に挑戦)、伽藍の曲(中華風サウンドと武術のイメージ)、ラヴサインの曲(スパイスの匂いを意識)を挙げた。また、前作第15弾「Ultimate Colosseum」は録音時に搭乗機が緊急着陸するハプニングがあり印象に残っている。10周年記念曲『Unbound Chronicles』はソプラノソロが入っており、皆が知る「あのメロディー」をオープニングに採用した。
「シャドバイズム」と社会的責任
池氏は「安易に流行りに流されないようにしている」とし、シャドバとして大事にすべきことを大切にしている。作曲家としてのいたずら心を持ちながら、社会的責任を果たしたいと語る。例えば、エリカのテーマ曲のロックアレンジは遊び心からで、著作権が自分にあるので何をやってもいいという。今後の展望として、「いつの日かちゃんとしたクラシックが演奏できるコンサートホールで披露したい」と述べた。
「狂気のコンサート」と奇跡の実現
Day2のセットリストについて池氏は「あれだけ激しい曲が連続するなんて、普通のコンサートじゃありえない。誰か倒れてしまうんじゃないかと心配した」と笑う。トロンボーン奏者にずっと謝っていたという。コンサートの実現は奇跡的で、トップクラスの奏者を揃えるのは難しかったと語る。SNSでの反響について「ずっと僕の楽曲を聴きながらシャドバをプレイしてくれている人がいるのはプレッシャー。だからこそ、ちゃんとやりたい」と述べた。
「超進化」と世界への挑戦
ここ7~8年はアメリカでレコーディングを行っており、日本のスタジオより大きい環境で録音している。PV曲などは今回のコンサートよりも大きな編成で録っているという。海外の大きなゲーム音楽に負けたくないという気持ちがあり、「Cygamesのゲーム音楽が負けたら『どこが勝つんだ』と」語る。最後に読者へ「人生諦めずに頑張りましょう。負けるな日本」とメッセージを送った。



