「俺なんぞが、教育のことなんて語る資格がねえことは百も承知だよ。けどな、言われたとおりにそつなく生きることだけを教えるのが教育じゃねえ。追い詰められたときに、必死に頭を使って生き延びようとすることを教えるのが本当の教育なんじゃねえのか?」
阿岐本の言葉に対し、日村は「自分にはわかりません」と答えた。阿岐本は「まあいい。お嬢たちが何を考えてくるのか楽しみに待ってみようじゃねえか」と続け、日村は「はい……」と応じた。
電話の着信
そのとき、阿岐本の電話の着信音が聞こえた。日村は代表室から退出しようとしたが、電話に出た阿岐本が片手を上げて日村を止めた。日村はその場で阿岐本の電話が終わるのを待つことにした。
伊達さんからの知らせ
電話を切ると、阿岐本が言った。「伊達さんからだ。スギモト電器の社長と昇さんがやり合っているそうだ」
日村が「どういうことです?」と問うと、阿岐本は「とにかく、行ってみよう」と答えた。