日常的に人工呼吸器の使用やたんの吸引が必要な「医療的ケア児」らがテーマパークを楽しむための工夫を考える課題解決型学習に、大阪人間科学大(摂津市)と摂南大(寝屋川市)の学生が取り組んでいる。7月には、一緒に「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、大阪市此花区)を訪れ、より快適に過ごすための改善点などを探った。
公民連携プロジェクトの一環
この取り組みは、障害の有無などによって体験できることに格差が生じないようにするための、府、USJ、大学による公民連携プロジェクト「医療的ケア児等の“楽しむ”を深化させよう!!」の一環として行われた。
学生たちは今春以降、普段から医療的ケアが必要な子どもらが抱える現状や課題を学ぶとともに、重症心身障害児・者の医療的ケア施設「ピアリン」(大東市)を訪問し、スタッフや当事者から聞き取りをするなどして理解を深めてきた。
現地視察と独自ツールの製作
USJの現地視察も行い、体温調整が必要な人のための日陰スペースやトイレの場所を確認したり、大きめの車いすが入れるかどうかテーブルとイスの位置関係を測ったりしてきた。また、意思疎通を図るため、「暑い?」「トイレ」などと書かれた独自のコミュニケーションボードも製作した。
実地体験は7月11日に実施され、両大学の学生27人と、医療的ケアを必要とする6人が車いすやストレッチャーで参加。事前に「行ってみたい」との希望があったアトラクションを中心に、ショーを見学したり、キャラクターと記念撮影したりしてテーマパークを満喫した。
学生が学んだこと
気管切開をしているため頻繁にたんの吸引が必要な岡田憲信さん(21)は初めてUSJを訪れたといい、車いすでパーク内を巡りながら目を輝かせ、手にしたラッパのおもちゃを吹こうとしたり、足を動かしたりしてうれしさを全身で表現していた。
大阪人間科学大の人間科学部社会福祉学科2年高嶋晶さん(20)は「人混みの中、ぶつからないように進むことに気を配った。しゃべりかけるより、本人のペースに合わせて寄り添うことが大切と感じた」と話し、岡田さんが暑さで疲れてしまわないよう日傘を差し掛けて歩き続けた。
当日の体調や気候、混雑度合いを踏まえ、予定していたプランを柔軟に変更する重要性も学んだ。同学科3年鯉田勇輝さん(21)は「あらかじめ3パターンのプランを用意していたので、臨機応変に対応しながら回ることができた」と手応えを感じた様子だった。
今後の展望
「ピアリン」の運営会社「わらみ」代表の金京蘭さん(62)は「最初から『できない』と諦めるのではなく、どうすればできるかをみんなで考え、実現してくれたことが本当にありがたい」と笑顔で見守っていた。
USJでは、障害を持つ人らが行列に並ばずに別の場所で待機できる「サポートパス」の導入などを以前から進めている。アトラクション・オペレーション部の梅原文子マネージャーは「今回の取り組みが、将来の福祉を担う学生たちの成長につながり、大阪全体のインクルージョン(社会的包摂)推進のきっかけにもなれば」と話し、今後の同パークのバリアフリー対策に生かしていきたいとしている。
学生たちは、今後もほかのテーマパークの事例研究などを進め、バリアフリー情報の共有化や改善点のマニュアル化などを目指して報告書をまとめる予定にしている。



