地域文化の発展に貢献した団体や個人をたたえる今年度の「サントリー地域文化賞」に、浪江町の「請戸芸能保存会」が選ばれた。28日、主催するサントリー文化財団が発表した。東日本大震災で大きな被害を受けながらも、伝統芸能「田植踊」の継承に尽力してきた点が評価された。
田植踊と保存会の歩み
田植踊は請戸地区に伝わり、赤い法被を着た踊り手が苗植えのしぐさを舞う伝統芸能。同保存会は1965年に設立し、80年代から請戸地区の小学4~6年の女子児童が中心となって踊りを担ってきた。
しかし、2011年の震災の津波や福島第一原発事故により請戸地区は大きな被害を受けた。踊りの衣装や道具は流失し、メンバーらも各地での避難生活を余儀なくされた。
継承への取り組みと受賞の喜び
田植踊の継承が危ぶまれたが、震災5か月後には公演を再開。伝統芸能を守るため、踊り手の資格となっていた年齢や居住地の制限をなくした。現在は小学生から60歳代の踊り手22人が所属。県外から活動に参加する人もいるという。
28日、県庁で開かれた発表記者会見に出席した選考委員の俳人夏井いつきさんは「震災から5か月で踊りを披露した意志や行動力、伝統を残していくための方向転換は同じ境遇の人たちのモデルケースになる」と評価。同保存会の佐々木繁子会長(76)は「田植踊は地域の心のよりどころ。これからも町民の心の支えになっていきたい」と決意を新たにしていた。
同保存会には盾と賞金300万円が贈られる。贈呈式は9月30日に大阪市で行われる。



