皇居東御苑ガイドの渡辺忠明さん、季節問わず花と緑の魅力伝える
皇居東御苑ガイド渡辺忠明さん、季節問わず魅力伝える

皇居東御苑(東京都千代田区)では、夏季を除く毎週水曜と土曜に無料のガイド案内が実施されている。その立ち上げに携わった渡辺忠明さん(80)が、今も現役のボランティアガイドとして活動を続けている。コンビニエンスストアのアルバイト店員という一面も持ち、日本語と英語で東御苑の魅力を伝える「おもてなし」に励む。

元環境庁職員が語る東御苑の魅力

「東御苑はどの時期でも花や緑を楽しめる気持ちのいい場所です」と語る渡辺さんは、元環境庁職員で宮内庁の庭園課長も務めた。大手門付近から始まるガイド案内では、「参加者は皇族の方々のお客さまと心得ることを基本としている」といい、楽しげに東御苑の魅力を伝える。

江戸時代に食用とされていた果物が植えられている果樹古品種園では、上皇さまが幼少期に見た桃太郎の絵本の桃はとがっているが、食用の桃は丸いことを不思議に思い、「江戸時代当時の品種を見られれば興味深いのでは」とのご発案からできたという話を紹介。「参加者からおいしいかと聞かれると、古い品種で味は良くないと思いますと答える」と笑う。

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ガイド案内の立ち上げと歴史

ガイド案内の構想が出てきたのは、平成20年の秋ごろ。前年に上皇さまのご発案で、一般に向けて初めて行われた吹上御苑の自然観察会が好評だったことを受け、同様のことを東御苑でもできないかという話だった。皇室ゆかりの文化事業などを推進する菊葉文化協会で検討が進められ、10年前に庭園課長を退いた渡辺さんに相談がきたという。

幼少期から植物好きで登山にのめり込み、京都大では林学を専攻した渡辺さんにとっては「わが意を得たり」。ガイド案内の内容づくりから尽力してきた。

東御苑は旧江戸城の本丸、二の丸、三の丸の一部があった歴史を感じられる場所でもある。「好きな大名になった気分で、本丸まで歩いてください」と渡辺さんは呼びかけ、江戸城がどのように敵の攻撃を防ぐ構造だったのかといったこともわかりやすく説明する。渡辺さんは「(ガイド案内に)参加してから江戸時代を調べるようになったと聞くと、本当にうれしくなる」と話す。

英語ガイドとコンビニ店員の二足のわらじ

外国人観光客の増加により、平成26年に英語のガイド案内も始まった。しばらく触れていなかった英語だったが、ちょうど同じころ、米ロサンゼルスで娘と米国人の夫の間に初孫が生まれたこともあり、勉強に精を出した。今では英語ガイドに携わることがほとんどだ。

約21ヘクタールという広さの東御苑のガイド案内では、「限られた時間で網羅的にごらんいただく工夫を心掛けている」という。学生時代に言われた「自分が本当に好きなものを話すとき、目は輝き、言葉に力がこもる」ということは今も心にとめている。

庭園のある二の丸地区。池では、上皇さまのご発案で日本とインドネシアの品種を交配して誕生したヒレナガニシキゴイが泳ぐ。

そんな渡辺さんは、11年前に帰宅途中に見つけたコンビニのアルバイト募集をきっかけに、今でも週4回、早朝にアルバイト店員として勤務する。接客面でボランティアガイドと通ずる部分があるといい、「ボランティアガイドは何よりもアンチエイジングで若返る」と笑顔を見せる。

9月から再開するガイド案内の参加者に向け、「まだ暑いですから、緑の冷気、涼しい風に触れてください」と話した。ガイド案内は1~2時間ほどで、毎週水曜日と土曜日の午前と午後2回、日本語と英語でそれぞれ行われている。予約は原則不要で、9月16日から再開予定。植物観察に特化した日本語ガイドも行われている。

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