12年に1度開かれる鹿島神宮(鹿嶋市)の式年大祭「御船祭」が、9月1日から3日まで行われる。2日には、祭神・武甕槌大神を乗せた御座船を中心に約100隻の大船団が水上を渡御する。御船祭の歴史と魅力を紹介する。
約2700年の歴史と「常陸国風土記」の記述
鹿島神宮文化研究所の大津忠男所長は「御船祭は、鹿島神宮の約900ある行事の中で最大最古の祭り。多くの人が大船団に感激するだろう」と話す。
全国約600に及ぶ鹿島神社の総本社である鹿島神宮は、約2700年前が起源と伝わる。祭神・武甕槌大神は、香取神宮(千葉県香取市)の経津主大神と共に、天照大神の使者として出雲に降り立ち、大国主から国譲りを実現させた神様だ。神武天皇の東征を助けたことで鹿島神宮につながったとされ、国の守護神や武神として信仰されてきた。
御船祭の歴史は約2000年前、ヤマトタケルの時代に遡る。「常陸国風土記」には、有力氏族が舟3隻を献上して以来、毎年舟を造って奉納する祭事が行われたとの記述がある。
かつては海面が今より高く、霞ヶ浦や北浦、鬼怒川などは一体化し「香取の海」と呼ばれた。交通の要衝である香取の海を挟んで鎮座する鹿島神宮と香取神宮は、航海神として崇敬を集め、御船祭はその神徳を象徴する神事だったと考えられる。鎌倉、戦国、江戸時代を通じて、武甕槌大神を武神としてあがめる信仰心が強まっていったという。
見どころは水上渡御、往復30キロ
御船祭の見所は、武甕槌大神を頂く大船団が描く水上絵巻のような水上渡御だ。約2500人の供奉員らが行列を作り、鹿島神宮から鹿嶋市の大船津の大鳥居へ向かう。極彩色の竜頭が取り付けられた御座船が水上を巡り、潮来市と香取市の県境を流れる常陸利根川へ向かう。
潮来対岸の加藤洲に設置された斎杭で香取神宮の宮司が祝詞をあげる「御迎祭」は必見だ。一団は、水陸合わせて往復約30キロを移動し、道中で催される様々な祭りも見所となる。
信仰心とともに2000年
水上渡御は、戦国・江戸時代は行われず、1870年(明治3年)に復活し、82年から午年に行う式年祭に変わった。午は方角で南、時刻は正午を示し、陽性が最も強まり縁起がいいという。
時代ごとに形を変え、地域の人々の思いとともに2000年の時を経た御船祭。鹿島神宮文化研究所の大津所長は「御船祭は、町の人たちが鹿島神宮を誇りに感じ、成立させてきた歴史がある。受け継がれてきた信仰心も祭りの見所」と語る。



