星野リゾートが展開する温泉旅館ブランド「界」は10月15日、「界 蔵王」を山形県・蔵王温泉に開業する。山形県への進出は同社として初めてで、界ブランドとしては26施設目となる。
山岳信仰と名湯、紅花文化が融合する地
蔵王連峰は古来、修験者が山に入り身を清めた山岳信仰の歴史を持つ。強酸性ならではの刺激と豊かな効能を誇る蔵王温泉は、古い角質を洗い流し肌を磨き上げる名湯として親しまれ、冬のスキーをはじめ多くの人々を魅了してきた。麓では、紅花の華やぎと交易の富を背景に、商人たちが繊細なもてなしの文化と手しごとを磨いてきた。
同施設は、山岳信仰、力強い名湯、華やかな文化という3つの要素が揃う独自の風土に着目。「御釜で整う、温泉スパイラル」のコンセプトのもと、1年を通して楽しめる通年型のウェルネス滞在を提供する。料金は31,000円~(2名1室利用時1名あたり、夕朝食付)。
正14角形のタワー建築と段階的な温泉体験
建物は天空に向かって伸びる正14角形のタワー建築で、1階のエントランスから客室や湯小屋、最上階のウェルネスエリアへと向かうにつれて景色が移り変わる。温泉旅館としては類を見ない独創的な空間設計に、人々が神聖な山へと登りつめるストーリーを投影している。
温泉は強酸性硫黄泉を源泉濃度3段階に分け、「0の湯」「50の湯」「100の湯」を用意。段階的に温泉の力を享受し、無理なくデトックスへと導く。その後、サウナや温冷交互浴、内気浴を経て、ルーフトップガーデンが広がる最上階へ。蔵王の象徴的風景「御釜」をイメージしたジェットバスで、360度の絶景のもと解放感を味わえる。
紅花をテーマにした会席とご当地楽
夕食は、紅花をモチーフにしたペンダントライトが幻想的な光を落とす全席半個室の空間で、「べにばな山彩会席」を提供。紅花商人の粋な心と精進料理の発想を受け継ぎ、鮮やかな朱塗りの器「宝楽盛り」に山の恵みを凝縮した。メインはセリや5種のきのこと鴨を味わう「月山鍋」で、もくず蟹を出汁の隠し味に効かせている。
また、温かい紅花茶と地域の歴史に触れた後、色鮮やかなガラスペンと四季のインクで17音の俳句をしたためるご当地楽も用意。湯上がりの澄んだ心で言葉をつづる時間を提供する。
客室は地元職人の手しごとを集結
正14角形の建築構造が生み出した台形型の客室は、全室で方角や高さが異なり、山形の絶景と光の移ろいを楽しめる。室内には天童木工をはじめとする地元職人の手しごとを集結し、紅花和紙のランプシェードや、極薄の天然木に紅花染めを組み合わせた「枯れない花」などを配置。職人技と土地の文化が融合した空間で、プライベートな寛ぎの時間を彩る。