福井県大野市と勝山市で、海外からの観光客を呼び込むための新たな施策が本格化している。大野商工会議所が中心となり、地域に長期滞在して暮らしを体験する「大野微住」プログラムを開発。一方、勝山市のスキー場では、ヘリコプターでゲレンデの山頂に直接運ぶプレミアム滑走サービスを今冬から開始する。両市とも、これまで少なかった宿泊客の増加と観光消費額の向上を狙う。
大野市:滞在型観光「大野微住」で地域密着体験
大野商工会議所によると、大野市の年間観光客数は約210万人だが、そのうち市内に宿泊する割合はわずか4%で、1人あたりの観光消費額は約3200円にとどまる。この課題を解決するため、同商議所や有志は約5年前から旅行専門家を交えた勉強会を重ね、住民との交流を通じて地域の暮らしを体感してもらう滞在型観光に着目した。
開発された「大野微住」は、1組2~6人程度を受け入れ、6泊7日を基本とする。参加者は民泊施設に滞在し、星空観察、そば打ち、神社での獅子舞体験など、地元の文化や自然を満喫できるメニューが用意される。今年1月に実施したモニターツアーでは、台湾のインフルエンサー・ハルさんがインスタグラムに体験を投稿し、6000以上の「いいね」を獲得。閲覧者からは「超楽しそう」「ローカルな旅程が好き」と好評を得た。
今春から大野商工会議所のホームページで受け付けを開始し、既に予約8件、問い合わせ10件以上がある。商議所が調整役となり、市内の民泊施設、神社、アウトドアガイド、星空案内人など約20の事業者・団体と連携し、予約者の希望に応じたカスタマイズプランを提案する。同商議所は年間100人の受け入れを見込み、観光消費額は約2200万円に上ると試算。担当者は「市内の宿や案内人、文化の担い手に収益が生まれ、持続可能な仕組みをつくりたい」と語る。
勝山市:ヘリコプターで一番乗り滑走、富裕層狙う
勝山市の「JAM福井勝山マウンテンリゾート」は、大阪や名古屋を訪れる外国人観光客をターゲットに、営業時間前にヘリコプターで山頂へ運び、一番乗りで滑走できるサービスを今冬から始める。冬季に大阪や名古屋を訪れる欧米やアジアの富裕層は、スキーやスノーボードを楽しみたい人が多いと見られ、その需要を取り込む狙いだ。
同リゾート近くにヘリポートがある縁で、ヘリ運航会社の川重岐阜サービス(岐阜県)と商品開発を進め、昨年度の試験運航で安全性を確認した。サービス開始後、名古屋や大阪を早朝に出発した観光客を約1時間でリゾートの山頂まで輸送可能となる。同リゾートの担当者は「ぜいたくな体験を味わってほしい」と期待を寄せる。



