北海道博物館(札幌市厚別区)で、特別展「沙流川に生きる――サルンクルの近代」が開かれている。これまで資料を「集めた側」の視点から語られ続けてきたアイヌ観に一石を投じる企画だ。
木綿衣を着用写真とともに紹介
展示では一着の木綿衣が紹介されている。通常であれば収集者や収集地、時代、素材などが解説されるが、本展ではこの衣類を着て木幣(イナウ)の製作を実演する二谷国松(1888~1960年)の写真とともに展示。実際に着用している姿を見せることで、単なるモノを生きた資料として輝かせている。
その横には二谷の和装姿の写真も並ぶ。時代は1935年、昭和初期で、この時点ですでに和装がアイヌの普段着になっていたことを示している。
「同化」「進化」した姿への関心
同じ頃の「アイヌ風俗」を紹介する絵はがきセットも数種類展示されている。多くは伝統的な行事や衣装の絵柄だが、必ず和装・洋装姿の絵はがきが1枚交じっており、「新化アイヌ夫妻」「進化セル姿」などのタイトルが付されている。
担当した大坂拓・学芸主査は、日本統治下で「同化」「進化」したアイヌという「意外な」姿に対する和人側の興味の表れである一方、「現在の生活状態」を伝えようとするアイヌ側の意思もあったのではないかと指摘する。
約250点を展示、9月6日まで
展示資料は、平取町二風谷地区など沙流川流域に伝わるものを中心に約250点。極力、個々のアイヌとの関わりに触れながら、その言葉とともに紹介し、アイヌに沈黙を強いてきた社会に対する問題意識に貫かれている。
会期は9月6日まで。観覧料は一般1000円、高校・大学生350円、中学生以下・65歳以上無料。問い合わせは同博物館(011・898・0466)へ。



