『新感染 ファイナル・エクスプレス』などで知られるヨン・サンホ監督の最新作『顔 -かお-』が28日から全国公開される。自身初のグラフィックノベルを映画化した念願の企画で、主演のパク・ジョンミンが一人二役に挑戦。俳優としてだけではない多彩な“顔”にも注目が集まる。
トロント国際映画祭で反響、青龍賞10部門ノミネート
ヨン監督は独立系のアート・アニメ作家としてキャリアをスタートさせ、『新感染 ファイナル・エクスプレス』の世界的ヒットを経て、Netflixオリジナルシリーズ『地獄が呼んでいる』『寄生獣 -ザ・グレイ-』などを手掛けてきた。そんな同監督が2018年に発表した自身初のグラフィックノベルを映画化したのが本作だ。
2025年の第50回トロント国際映画祭「スペシャル・プレゼンテーション」部門でワールドプレミアを迎えると反響を呼び、韓国を代表する映画賞の青龍賞では作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞など10部門にノミネートされた。ギレルモ・デル・トロ監督も「これ以上ない完成度を誇る傑作だ!」と評価している。
パク・ジョンミン、初の一人二役で圧倒的な演技
主人公ドンファンと父親ヨンギュを演じるのは、パク・ジョンミンとクォン・ヘヒョ。ともにヨン・サンホ監督の過去作品に出演した経験を持つ実力派俳優だ。なかでもパク・ジョンミンは、『ただ悪より救いたまえ』『密輸 1970』など話題作に相次いで出演。本作では第62回百想芸術大賞で最優秀演技賞を受賞したほか、1970年代の回想シーンで若き日のヨンギュとその息子を一人二役で演じ、迫真の演技で観る者を圧倒する。
2011年の『BLEAK NIGHT 番人』で注目を集めたパク・ジョンミンは、2016年の『空と風と星の詩人~尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯~』で詩人・尹東柱の従兄弟である宋夢奎(ソン・モンギュ)を演じ、百想芸術大賞などで新人演技賞を受賞。その後も『それだけが、僕の世界』では天才的なピアノの腕を持つサバン症候群の青年、『ただ悪より救いたまえ』ではトランスジェンダー役に挑戦するなど、作品ごとに異なる役柄を演じてきた。
ヨン監督との出会いとなったNetflixシリーズ『地獄が呼んでいる』にも出演したパク・ジョンミンは、シリアスからコミカルまで幅広い演技を見せる俳優だ。本作では初の一人二役に挑戦し、2つの役柄の見た目にも変化をつけ、同じ俳優が演じていると気づかないほど演じ分けている。ヨン監督も「パク・ジョンミンさんはリアルな演技の達人であると同時に、映画的センスが非常に優れた俳優です。毎シーン『どうすればより映画的に優れた場面になるか』を絶えず悩み続ける、偉大な芸術家だと実感します」と、その演技力を高く評価している。
また、謎めいたヨンヒを演じるのは、ヨン監督の前作にあたるNetflix映画『啓示』で鮮烈な印象を残したシン・ヒョンビン。物語のキーパーソンでありながら“顔”が覆い隠された異色のキャラクターとして登場し、観客の好奇心と想像力をかき立てる。
俳優以外の“顔”も多彩、出版社代表としての活動
さらにパク・ジョンミンは、俳優以外にもさまざまな“顔”を持つ。IUやi-dle、ファサ(MAMAMOO)らのミュージックビデオにも出演し、2025年にはファサの「Good Goodbye」に友情出演。その年の青龍映画賞祝賀公演ではファサのステージにも登場し、共演が話題となった。
自ら著者として携わった本の出版をきっかけに、出版社「MUZE(無題)」を立ち上げたこともパク・ジョンミンの“顔”のひとつ。視覚障害を持つ父親も読める方法を考え、オーディオブック用に書き下ろされた物語を俳優陣がラジオドラマのように演じて先行出版し、その後、同じ物語を紙でも出版する取り組みを企画した。俳優仲間も賛同し、名だたる俳優陣が声の出演を務めたことでも話題となった。
俳優、MV出演、出版社代表と多彩な“顔”を持つパク・ジョンミン。その演技力を存分に発揮した『顔 -かお-』は、28日から全国公開される。



