映画『告白』(2010年)で中学生を担任する教師・森口悠子を演じた松たか子が、役作りの信条について語った。デビューから30年余りを経て、今や実力派俳優として知られる松は、「『絶対私はこういう芝居をしたい』と、形から決めてかからない」と明かす。
「告白」での長ぜりふと中島監督からの依頼
『告白』は湊かなえの原作小説を中島哲也監督が映画化した作品で、松は担任するクラスの生徒たちを見据えつつ、表情一つ変えずに自身の一人娘について“告白”する独白調の長ぜりふで生徒を追い詰める役柄を演じた。騒がしかった教室が静まり返る中、淡々としたせりふが響くシーンが印象的だ。
出演依頼は『下妻物語』『嫌われ松子の一生』などを手がけた中島監督から、丁寧な手紙で届いた。これまで演じてきた清純、天真らんまん、しっかり者といった役柄とは一線を画すものであったが、意を決して撮影現場に臨んだという。
現場での緊張と「色」を考える役作り
撮影を振り返り、「私がリハーサルに入る頃、学生たちはもう完全に(雰囲気が)できあがっていて、自分の声が聞こえないくらい。みんなで練習して、作り上げていたんです。もっと早く(現場に)呼んでくれと思いました。大変でしたけれど、楽しかった」と述べた。
役作りについて松は、「人って、笑ってばかりもいないじゃないですか。無になる時も、悲しいことも、人が楽しいと思うことを楽しめないこともある。たとえ無表情の役柄でも、役柄がその心境に至るまで抱えている、一つではない『色』のことは、常に考えるんです」と説明。「人間である以上、一つの感情だけではなかなか生ききれない。色々な感情が見え隠れするからこそ楽しいし、つらい。どんな作品であっても、それは忘れないようにしています」と語った。



