本木雅弘、被爆者と向き合う主人公役で「真実語り継ぐ難しさ」語る
本木雅弘、被爆者と向き合う主人公役で「真実語り継ぐ難しさ」語る

公開中の映画「八月の声を運ぶ男」(柴田岳志監督)で、被爆者の声を記録するために全国を歩いたジャーナリストを演じた本木雅弘が、主人公について「真実を語り継ぐことの難しさとも向き合った人だ」と語った。映画は、昨年8月にNHKで放送され高い評価を受けたドラマに映像を追加し、13分長くなった劇場版。ジャーナリスト・伊藤明彦の実体験に基づく物語で、主人公の辻原は被爆者の九野(阿部サダヲ)の証言に翻弄される。

主人公と被爆者の衝突が山場

1972年、長崎で被爆した九野と出会った辻原は、その生々しい証言に心を動かされるが、やがて疑わしい点があることに気づく。証言の真偽を巡って2人が衝突する場面が今作の山場で、本木は「2人の関係性の沸点のよう」と表現。「2人がだんだん距離を縮めていって頂点で狭まり、爆発する」と語る。

長崎での撮影を望んだが実現せず

本木は撮影前に長崎を訪れ、平和祈念館や爆心地に近い小学校を訪ね、伊藤を知るジャーナリストらと会った。伊藤が記録した証言を収めたCDを聞き、「人間の感情を最も端的に伝える肉声の力」を感じたという。「淡々とした口調の奥に深い悲しみがにじんだり、過ぎ去ったこととして明るく話し始めたのに、途中で記憶がふとよみがえったかのように声を詰まらせる方がいたり――。話しながら、現在と当時を行き来していたのでしょう」と振り返る。

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一方で、長崎でのロケ撮影は事情があって実現しなかった。「様々な記憶が埋まっている長崎の土地で、1シーンだけでも、どこかの坂道を歩くだけでも、撮影したかった。本当に行きたかった」と悔しさをにじませた。

脚本家・池端俊策との縁

脚本を手がけたのは、数々の名作ドラマで知られる池端俊策。本木はNHK大河ドラマ「太平記」(1991年)以来、池端作品と縁が深い。本木は「辻原を、ヒーローになりきれない悲哀のようなものを抱えながら、突き進んでいく男として描いて、安易に感情移入させない。それが池端作品の真骨頂だと思います」と語る。

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