近代日本画の巨匠・小林古径の特別展、田辺市立美術館で開幕 1年4か月ぶり再開
小林古径の特別展が田辺市立美術館で開幕 1年4か月ぶり再開

近代日本画の巨匠・小林古径(こけい、1883~1957年)を特集した特別展が10日、和歌山県の田辺市立美術館で始まった。同館は昨年6月から設備工事のために休館していたが、この日が1年4か月ぶりのオープンで、訪れた人たちが〈芸術の秋〉を堪能していた。

開館30年とリニューアルを記念

特別展は、日本の近代絵画をコレクションしてきた同館の開館30年とリニューアルを記念して企画した。

古径は新潟県上越市生まれ。16歳で上京して日本画家の梶田半古に師事し、頭角を現した。東洋の絵画表現における伝統的な技法や題材を再解釈した「新古典主義」の草分けとして知られる。

代表作「竹取物語」の絵巻物も

会場には古径が画家としての地位を確立する20~50歳頃の作品15点が並ぶ。古典文学を題材に描いた掛け軸や絵巻物が中心で、1917年制作の代表作「竹取物語」は長さ約6.6メートルに及ぶ絵巻物だ。かぐや姫の一生を六つの場面で描き分け、月の都に帰る場面は姫や天人たちの衣装が幅1ミリに満たない細い線と極彩色で表現されている。

同館の三谷渉学芸員(55)は「着物の模様やしわ、髪の毛の一本一本まで精緻に描き込んでいる。厳格なまでに研ぎ澄まされた線描の美が、古径の魅力」と解説する。

和歌山ゆかりの「清姫」下図も展示

また、和歌山ゆかりの「安珍清姫伝説」を題材とした絵巻物「清姫」(1930年頃制作)の下図には、古径が構図を考えた下書きの跡や、白い絵の具で線を何度も修正して描き直した形跡が見てとれる。

久しぶりに来館したというみなべ町の会社員女性(56)は「色遣いも鮮やかで美しかった。題材となった古典文学の雰囲気もよく表現されていた」と話していた。

特別展は11月23日まで。午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)。休館日は毎週月曜と10月13日、11月4、7日(10月12日は開館)。観覧料は600円、学生や18歳未満は無料。問い合わせは同館(0739・24・3770)。